人事・労務 - 問題社員対応、解雇・雇止め

退職勧奨をする際の留意点退職願と退職届の違い

退職勧奨とは

会社が従業員を辞めさせようとする場合、解雇ではなく、従業員自ら退職をするように促す退職勧奨が行われることがあります。
解雇の場合、後日従業員から解雇を争われる可能性がありますが、退職届は自らの意思で雇用契約を終了させる行為ですから、争われる心配がありません。

退職願と退職届

気をつけるべきは、従業員に退職願を出させるのではなく、退職届を出させるようにすることです。
退職願は、従業員が会社に退職すること、すなわち、労働契約の解除を申し入れるための書類であり、権限ある人事責任者が承認することがあって初めて退職が確定します。すなわち、退職願という労働契約を解除の申し込みがあっただけでは労働契約は終了せず、これを会社が承諾することにより、合意解除となり、契約が終了するのです。
これに対し退職届は、契約期間の定めのない従業員を、退職すること、すなわち、労働契約の解除の意思表示であり、上司に提出した時点で労働者側が労働契約の解除が成立します。会社は、合理的な理由がなければ従業員を解雇できませんが(労働契約法16条)、契約期間の定めのない従業員は民法626条により、いつにても解除を申し出ることが可能なのです(同条は「この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」としています。)。
退職願は、人事責任者が承認するまでは、撤回することができるため、従業員が後で気が変わって「退職しない」となった場合に対処できません。その点退職届は撤回が聞きません。

退職届が提出されても100%安心はできない

ただ、退職届さえ、もらえれば労働契約は100%終了するとは、言いきれません。というのも、退職勧奨が脅迫にあたるとして、退職届を取り消されることがありうるからです。懲戒解雇事由がないにも関わらず、懲戒解雇がありうる旨を告げ、退職を強要した場合、脅迫があったとして、従業員は、その結果なされた退職届は強迫を理由に取り消せるとした判例があるからです。
ですから「会社としては解雇することも考えている。ただ、争われれば裁判になるし、お互い不愉快な思いもするだろうから、ここは円満退職ということで話ができないか。」などと言い方を工夫し、その時の様子を録音しておくといいでしょう。

退職願いが提出された場合

多くの会社が、突然の退職により業務に支障が生ずるのをおそれて、就業規則で就業規則で「自己の都合により退職を願い出て、会社が承認したとき」は、退職となるといったように、退職願という形で会社に退職を申し出ることを求めています。この場合、問題従業員が退職願を出したら、すぐに、権限者(これを定める業務分掌規程ないし職務権限規定がなければ代表取締役)から承諾を得て、これを本人に通知すべきです。早めに離職票等を交付し、争う余地をなくした方がいいでしょう。
上司が、これは預かるといって受け取っただけでは、後に撤回されてしまえば、雇用契約はそのまま継続することになります。
大きな会社になると、退職届が所属課長→所属部長→人事部長→担当役員→代表取締役などと稟議を重ね、代表取締役のところまで行ってようやく承諾になるなどということがありますが、稟議書が回っているうちに撤回されたら元も子もありません。急を要する場合は、途中を飛ばして、代表取締役の決裁を得れば問題はありません。

問題社員対応には弁護士のサポートが必要です

問題社員の対応を怠ってしまうと、問題社員との関係はもちろんですが、最大の問題は、周囲の社員のモチベーションを下げ、労働生産性を下げてしまうリスクばかりでなく、最悪の場合、会社に嫌気がさして辞めてしまうという可能性があることです。

多くの経営者は、なんとかしたい、ただ、対応するエネルギーがない、法律的にどういった対応がベストなのかわからない。といった悩みを抱えているのではないでしょうか。

問題社員の対応は、注意指導、配置転換・降格、懲戒処分、退職勧奨、解雇など法律的に適切なプロセスを踏んで対応していかなければなりません。その対応を間違えれば、企業にとって大きなリスクになります。そのため、人事労務問題を熟知した弁護士のサポートが必要なのです。

当事務所では、労働問題に特化した顧問契約をご用意しております。法改正対策はもちろん、労働時間管理やフレックスタイムの導入や、問題社員対応、人材定着のための人事制度構築など、企業に寄り添った顧問弁護士を是非ご活用ください。

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