人事・労務 - 問題社員対応、解雇・雇止め

勤務態度が悪いモンスター社員他の従業員への悪影響を防止する

モンスター社員の会社への悪影響

勤務態度が悪いモンスター社員は、我が強く、傲慢かつ不遜、面倒な仕事は人に押し付け、他に威圧的であり、何かといえば会社に対し不満を言い、自分の責任は絶対認めないという特徴があります。問題社員の中で一番厄介な存在がこのタイプです。

こういった社員が会社に及ぼす影響は絶大です。他の社員が一緒に仕事をしたがらないため、当該社員に合った仕事を用意しなければならなかったり、同僚や上司が精神的にダメージを追って休職ないし退職したり、同僚から「あの人だけ楽をしているのになぜ同じ給料なのか」と文句が出たりと、悪影響を上げればキリがありません。

指導の必要性

こういった社員は上司も注意せず、そのまま放置されていることが多いのも特徴的です。誰でも火中の栗は拾いたくないものです。結局そうした無責任体制の連続が、こうした社員を作ってしまった面もあるかもしれません。

指導しようにも指導するポイントがないということもあります。面倒な仕事を回しても悪態をつかれ、他との共同作業を要する仕事に就かせる等すると周りが迷惑するため、無難な仕事しか回すことができず、指導するきっかけとなる事件も起きなくなってしまうからです。

しかし、そのまま放置することは許されません。誰かに火中の栗を拾わせなければならないのです。嫌がる上司に命令して、負担のある仕事を当該社員に回し、敢えて衝突する環境を作らなければなりません。ただ、当の上司の心理的負担は大変なものがあります。その上の上司が絶えず相談に乗ったり、人事部を入れて当該社員との面談を行ったり、誠心誠意上司をサポートする必要があります。

証拠の収集

上記のように指導した結果は、きっちり記録する必要があります。5W1Hを整えるのは勿論ですが、声が威圧的といったものは記録のしようがないため、できたら録音もした方が良いでしょう。その際、録音の許可を求める必要はありません。相手の同意なしにした録音も裁判では立派な証拠になります。

こうした社員に厳しいことを言ったり、処分を言い渡すのは、直属の上司ではなく、人事部(小さい会社なら社長)が同席して行う方が良いでしょう。本当は直属の上司が行った方が良い場合もありますが、直属の上司の精神的負担を軽くする必要もあるからです。処分した結果を残すのも重要です。

退職勧奨

ただで退職勧奨に応じることはないことが多いでしょう。ユニオンに駆け込むか、労働審判に持ち込めば何か月分かの給与を払うだろうと考えている可能性も大です。その場合、相手の予測を上回る金額を提示しないと退職するという話に張らないでしょう。

しゃくではあっても、当該社員が会社に残ることで生ずる悪影響を考えれば、ある程度の金額を積んで合意退職に持っていくのも仕方ないでしょう。もし、話し合いで解決すると決めたのであれば、退職勧奨には、社長も出席するか、社長が別の場にいて電話ですぐ連絡が取れるようにして、その場で決められる体制を整えておくのがいいでしょう。事前にいくらまでなら出すという限度を決めておかないと、向こうのペースにはまってしまいます。そのためにも、事前に弁護士を依頼し、いざ決裂となったら徹底的に争うというだけの覚悟を決めて臨まれることをお勧めします。

退職勧奨の際は必ず録音をしてください。相手も録音している可能性が高く、こちらだけ録音していないと、裁判で不利になりかねません。

解雇

解雇する前に、経歴詐称がない確認しておくのもいいでしょう。こういう社員は、いろいろな企業を渡り歩いている可能性が高く、経歴を詐称していることが往々にしてあるからです。

解雇通知書作成の段階で、弁護士に相談することをお勧めします。このような社員は解雇通知を渡すと、すぐに解雇理由証明書の提出を求めてくると考えておいた方が良く、その準備も並行して進め、解雇通知書と解雇理由証明書との間に内容的に齟齬がないようにしておく必要があるからです。

退職金

懲戒解雇が認められるか微妙なケース、退職金が少額なケースでは、退職金を相手方口座に振り込むことも検討ください。退職金を返してこなければ、いざ裁判となった場合、相手が退職を認めたとの心証形成にも役立ちます。

なお、現在の裁判実務絵は、懲戒解雇が認められても、退職金の3割は払わされるのが普通です。

労働審判・労働訴訟

当該社員が労働審判を申し立ててくるか、訴訟を申し立ててくるかで相手の考えがある程度わかってきます。労働審判は、申し立てて2、3か月で決着しますし、金銭解決による調停で終わることが殆どで、仮に調停が不調に終わっても、審判でも、結局は金銭支払いを命ずる内容のものになります。ですから労働審判を申し立てて来たら、金銭狙いだと考えて良いでしょう。

労働審判の場合、申立書が送達されたら、1か月後には答弁書を証拠を添えて出す必要があり、1回目の期日で話し合いでの解決(調停といいます)を求められるため、時間はいくらあっても足りません。すぐに弁護士に相談することをお勧めします。

解雇を争う場合、いかなる問題行為があったかを示す証拠が重要になります。この場合、問題行動に対して行った指導ないし処分を示す書面ないしメールがそれにあたります。これがないと「陳述書」と言って、直属の上司や同僚が、いつどんな問題行動があったかを、時系列で書いた一人称の作文みたいなものを提出するしかないのですが、裁判所はせいぜい弁護士の作文程度にしか見ていません。それでも、当該社員が退職し、それと引き換えにいくらの金銭を支払うという内容の調停案が示されるでしょうが、証拠がない分金額が上がらざるをえません。

相手が訴訟を起こしてきたときは、訴訟中に和解協議も進められますが、話がまとまらなければ判決になります。判決は労働審判とは異なり、オール・オア・ナッシングで中間的な数字は出てきません。解雇が有効か無効か、無効ならそれまでの給与全額を支払わなければならず、それは高裁で解決するまで続きます。

問題社員対応には弁護士のサポートが必要です

問題社員の対応を怠ってしまうと、問題社員との関係はもちろんですが、最大の問題は、周囲の社員のモチベーションを下げ、労働生産性を下げてしまうリスクばかりでなく、最悪の場合、会社に嫌気がさして辞めてしまうという可能性があることです。

多くの経営者は、なんとかしたい、ただ、対応するエネルギーがない、法律的にどういった対応がベストなのかわからない。といった悩みを抱えているのではないでしょうか。

問題社員の対応は、注意指導、配置転換・降格、懲戒処分、退職勧奨、解雇など法律的に適切なプロセスを踏んで対応していかなければなりません。その対応を間違えれば、企業にとって大きなリスクになります。そのため、人事労務問題を熟知した弁護士のサポートが必要なのです。

当事務所では、労働問題に特化した顧問契約をご用意しております。法改正対策はもちろん、労働時間管理やフレックスタイムの導入や、問題社員対応、人材定着のための人事制度構築など、企業に寄り添った顧問弁護士を是非ご活用ください。

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