B型肝炎訴訟について B型肝炎訴訟のはじまりから、手続きの流れや費用についてご説明します。

B型肝炎訴訟について

B型肝炎がなぜ社会問題となったのか

1948年、感染症の予防・症状の軽減、蔓延防止などを目的として、「予防接種法」が制定されました。当時、予防接種は罰則付きの強制接種であり、全国の自治体では、集団予防接種制度が確立されました。
制定当時から、海外では注射器の連続使用によって、血清肝炎感染の危険性が指摘されていました。しかし、国はその危険性について認識していたものの、注射器の交換について通達は出したものの、国の対応が不十分であったことから、注射器の交換が徹底されることはなく、1987年に注射器の交換が徹底されるまでの間、注射器の連続使用が行われたことにより、B型肝炎の被害が拡大してしまいました。

B型肝炎被害者向けの法律と訴訟の必要性

1989年、B型肝炎患者が、国に対して損害賠償を求めて裁判を起こし、2006年、最高裁判所で国の責任を認め、その後、多くの方が全国で裁判を起こし、その結果、2011年年12月9日に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立し、国が被害者に給付金を支払う体制が整いました。
同法第1条には「集団予防接種等の際の注射器の連続使用により、多数の者にB型肝炎ウイルスの感染被害が生じ、かつ、その感染被害が未曽有のものであることに鑑み、特定B型肝炎ウイルス感染者及びその相続人に対し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給するための措置を講ずることにより、この感染被害の迅速かつ全体的な解決を図ることを目的とする」とあり、感染者への給付金支給制度や、定期健診費用等の国による支給を定めています。ただ、この給付金の支給を受けるには訴訟を提起し判決を得るか、国と和解する必要があります。

訴訟は誰を被告として起こすのか

被告は国になります。かつての予防接種法には、市町村長は、国が定めた病気について、国が定めた範囲の住民に対して、期日又は期間を指定して、予防接種を行わなければならないとされていました。こうして、国の政策として行われたのが集団予防接種のため、国自体が集団予防接種等によって生じた損害について、国家賠償法1条1項に基づく賠償責任を負っているのです。

訴訟にかかる期間

B型肝炎訴訟のほとんどが国との和解によって解決しています。提訴すると、国は提出された証拠書類を精査します(国から追加で資料を求められることもあります)。その期間はおよそ10か月程度がかかります。その間に裁判期日があり、弁護士が出頭します。
提出した証拠書類から要件を満たすことが明らかになった時点で、国から和解提案があり、次の期日に弁護士が裁判所に出頭し、和解が成立します。

国との和解成立後は、社会保険診療報酬支払基金に対して給付金等の支払請求をおこない、給付金を受領します。個々のケースによっても異なりますが、裁判所への提訴から和解案に基づいて給付金が支払われるまでに1年程度かかりますが、案件によっては、2~3年間かかる場合もあります。

裁判所に出向く必要があるか

請求する人の住所を管轄する裁判所か、東京地方裁判所になります。東京地方裁判所では、集中審理がなされており、当事務所も東京地裁に裁判を提起しています。
ただし、B型肝炎訴訟は、書類審査で全てが解決するため、ご本人が裁判所へ出頭する必要はなく、すべて弁護士が行います。

手続きの流れ

訴訟を含む、給付金を受けるために次のような流れで進んでいきます。

事前準備

・証拠資料の収集
訴訟を起こす前に、必要となる証拠資料を収集して、給付金対象者としての要件を満たすか確認します。

裁判

・訴訟提起
国を相手取り、国家賠償請求の訴訟を提起します。
・証拠書類の精査
提出した証拠書類を国が要件を満たしているかどうか精査します。不足書類があれば、追加提出を求められます。
・和解成立
要件を満たすことを確認し、国との間で和解が成立します。

支払手続

・請求書の提出
社会保険診療報酬支払基金に請求書を提出します。

B型肝炎の要件と証明する資料について

給付金の要件は、下記の通りです。

  • ①B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • ②満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
  • ③集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  • ④母子感染でないこと
  • ⑤その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

B型肝炎ウイルスに持続感染していること

①の持続感染を確かめるためには、血液検査結果から、以下の2点のいずれかを満たす必要があります。

  • HBs抗原陽性、HBV-DNA陽性又はHBe抗原陽性のいずれかの確認が得られたら、その6カ月以上後に同じ検査を受けて、同じく陽性であること。
  • HBc抗体陽性で、かつ高力価であること。

なお、上記(1)と(2)のほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、B型肝炎ウイルスの持続感染が認められることがあります。

満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること

②の満7歳になるまでに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていることを証明するためには、下記の(1)〜(3)のいずれかを用意する必要があります。

  • 母子健康手帳の原本
    母子手帳には「予防接種の記録」というページがあり、そこにどのような予防接種を、いつ受けたかを記録するようになっています。通常予防接種として行われるのが三種混合ワクチン(百日せき・ジフテリア・破傷風)、種痘、急性急性灰白髄炎(ポリオ)等のワクチン、ツベルクリン反応検査などです。
  • 予防接種台帳
    母子健康手帳の原本を提出することができない場合でも、各市区町村が集団予防接種当時の予防接種台帳を保管していればそれを証拠に出すことができます。ただ、殆どの市区町村がこの台帳を破棄してしまっています。
  • (1)と(2)のいずれもない場合
    母子健康手帳か予防接種台帳を提出できない場合は、以下の書類を用意する必要があります。
    • 母子健康手帳と予防接種台帳が提出できないことを説明した陳述書
    • 接種痕が確認できる旨の医師の意見書
    • 住民票または戸籍の附票

    原告又は関係者の陳述書等により、具体的な接種状況及び母子健康手帳を提出することのできない事情が可能な限り合理的に説明され、原告に種痘やBCGなどの接種痕があるとする医師の意見書があり、原告の出生時から満7歳になるまでの居住歴を確認することができる住民票又は戸籍の附票の写しが必要です。
    被告の調査により予防接種台帳の保存が確認された市区町村に居住歴のある場合は、台帳に原告についての接種記録の記載がないことを証する市区町村発行の証明書がさらに必要です。

なぜ満7歳までという要件があるのか

では、なぜ満7歳までという要件があるのでしょうか。これは平成18年最高裁判決で、B型肝炎ウイルスに感染したのち、これが持続感染化するのは免疫機能が未発達な幼少期(6歳頃まで)に感染した場合であるとされたためです。よって、満7歳の誕生日の前日までの間に集団予防接種等を受けていることを確認する必要があります。

「予防接種台帳」はどの程度残っているものなのか

(2)で挙げられている「予防接種台帳」はどの程度残っているものなのでしょうか。厚労省が、2018年12月7日時点で、各自治体にどの程度予防接種台帳が残っているかを調査した結果が以下の通り公表されています。
全国1750市町村中、保存している一番古い予防接種台帳が昭和20年代という市町村が2、昭和30年代が22、昭和40年代が157、昭和50年代が504、昭和60年代が258という結果でした。昭和50年以前は残っていない自治体が全体の9割というのが実情です。

母子感染でないこと

④の原告のB型肝炎ウイルス感染が母子感染によるものではないことを証明するためには、以下の(1)(2)(3)のいずれかにあたることの証明が必要です。

  • 母親(母子関係を証明するため戸籍が必要)が病院で血液検査を受け、HBs抗原陰性かつHBc抗体陰性(低力価陽性)の評価を得ることが必要です。なお、母親が既に死亡している場合は、母親が80歳未満の時点のHBs抗原陰性の検査結果のみで構いませんが、80歳以上の時点の検査の場合は、HBs抗原の陰性化(持続感染しているが、ウイルス量が減少して検出できなくなること)があるため、HBc抗体も併せて確認する必要があります。
  • 母親が既に死亡しているため、母の血液検査結果を証拠提出できない場合は、年長のきょうだい(きょうだい関係を証明するための戸籍が必要)の検査結果で代用できます。年長のきょうだいが2人いて、2人が陽性の場合でも、もう1人が陰性であれば、問題ありません。
  • 上記(1)と(2)のほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、母子感染によるものではないことが認められること

その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

⑤のB型肝炎ウイルス感染に集団予防接種等以外の原因がないことを証明するためには、以下の資料が必要です。

  • カルテ等の医療記録
    医療記録から、集団予防接種等以外に感染原因が存在しないことを確認します。
  • 父親の血液検査結果(HBs抗原・HBc抗体)
    父親の血液検査結果から、父子感染ではないことを確認します。
    なお、父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者の場合、塩基配列を比較した血液検査を行なう必要があります。※父親からの感染でないことを証明するために必要となる検査です。
  • B型肝炎ウイルスのジェノタイプがAe型ではないこと。 ジェノタイプ検査結果から,ジェノタイプAeではないことを確認します。なお、1995年以前に持続感染が判明した場合、検査は不要です。

ジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスは、成人後の感染であっても、その10%前後が持続感染化することが知られています。日本では、このジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスは、1996年以降に感染例が確認されています。このため、1996年1月1日以降にB型肝炎ウイルス感染が確認された方については、ジェノタイプの検査結果の提出を求めることとし、仮にジェノタイプAeであれば、成人後に感染した可能性があると判断され、手続きの対象外となります。

母が集団予防接種の連続使用が原因でB型肝ウイルスに感染し、その子供に母子感染してしまった場合

また、母が集団予防接種の連続使用が原因でB型肝ウイルスに感染し、その子供に母子感染してしまった場合はどうなるのでしょうか。

  • 以下が証明されれば、給付金を受けることは可能です。
    母親が、(1)1941年7月2日から1988年1月27日までに生まれたこと、(2)B型肝炎ウイルスに持続感染していること、(3)満7歳になるまでに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていること、(4)B型肝炎ウイルス感染が母子間の感染によるものではないこと、(5)母親のB型肝炎ウイルス感染に集団予防接種等以外の原因がないことの証明ができること。
  • 次のいずれかの事由が存在すること
    • (2-1) 本人が出生直後にB型肝炎ウイルスに持続感染したと認められること。
    • (2-2) 本人のB型肝炎ウイルスのDNA配列(塩基配列)が母のそれと同一であること。
    • (2-3) 以下のⅰないしⅲの事実があること
      • ⅰ 自分の出生前に母の感染力が弱かったこと(HBe抗原が陰性であったこと)が確認されないこと。
      • ⅱ 本人が1985年12月31日以前に出生していること。
      • ⅲ 以下の ア ないし ウ のいずれの事実もないこと
        • ア.B型肝炎ウイルスの持続感染について母子感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な資料のあること
        • イ.父がB型肝炎ウイルスの持続感染者であり、かつ本人と父のB型肝炎ウイルスのDNA配列(塩基配列)が同一であること。
        • ウ.本人のB型肝炎ウイルスのジェノタイプがAe型であること。

上記(1)と(2)のほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、本人の持続感染が母からの母子感染であると認められること。

病態の見分け方

病態によって、支給額が変わってきますので、どれに該当するか確認しておく必要があります。

お金について

弁護士費用

当事務所は給付金の13.2%(税込)を成功報酬としていただいていますが、国から弁護士費用の補助として給付金の4%相当額が支給されるため、お客様が実際に負担する報酬は給付金の9.2%(税込)分です。もちろん完全成功報酬制ですので、給付金が支払われた場合に、その給付金の中からいただくことになっています。

裁判に必要となった検査費用

父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列についての検査が必要となり、これを行い、裁判上この検査結果を用いて和解が成立した場合には、給付金等と合わせて支払基金から検査費用として65,000円が支給されます。
1995年12月31日以前に持続感染したことが確認できない場合、B型肝炎ウイルスのジェノタイプがAeではないことを証明する検査結果が必要です。この検査結果を用いて和解が成立した場合には、主要な遺伝子型を判定する検査については2,300円(保険給付がない場合には8,500円)、ジェノタイプAaまたはジェノタイプAeを判定するための検査について15,000円が、給付金等と合わせて支払基金から検査費用として支給されます。
ただし、上記両検査が行われても、和解が成立しなかった場合には、検査費用は各自の負担となります。

いつ支払われるのか

裁判所から発行された和解調書やその他必要書類を整えた上で、社会保険診療報酬支払基金に支給請求すると、概ね50日後に指定口座へ支払われることになっています。

来所不要、お電話にてご相談できます。
2027年3月31日が請求期限です。ホームワンでは、お客様の状況やご希望に合わせて、来所・電話・オンラインでのご相談を承っております。申請にはお時間のかかるケースもございます、ぜひお早めにご相談ください。

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