B型肝炎は自然治癒することがある?

病院で血液検査をしたところ、「B型肝炎になったことがあるけど、もう治っている」と言われることがあります。これは、過去にB型肝炎に「一過性感染」したことがあり、現在はB型肝炎ウイルスへの抗体を獲得していることを意味しています。ここでは、B型肝炎の一過性感染と自然治癒について詳しく説明していきます。

B型肝炎とは

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスが原因で起こるウイルス性肝炎のひとつで、血液や体液を介して感染します。B型肝炎ウイルスへの感染は、「一過性感染」と「持続感染」に大別することができます。

一過性感染とは

B型肝炎ウイルスの一過性感染とは、B型肝炎ウイルスの感染期間が約3~6か月未満と一時的で済む状態をいいます。

成人した方は、何かの原因でB型肝炎ウイルスに感染し、体内にウイルスが入ったとしても、ほとんどの場合、自己免疫機能が働き、ウイルスを体外に排出することができるため、一過性感染となります。

ただし、B型肝炎ウイルスのなかには、成人で感染した場合でも、約10%の確率で持続感染化させる遺伝子タイプがありますので、注意する必要があります。 

持続感染とは

B型肝炎ウイルスに持続感染した状態とは、ウイルスを体外に排出することができず、ウイルスが6か月以上、体内に残り続けてしまう状態をいいます。一般的に、持続感染している方を「B型肝炎キャリア」と呼ぶことが多いです。

乳幼児など、免疫機能が未発達な状態のときに感染すると、約90%の確率で持続感染するといわれています。

一過性感染した場合はどうなる?

一過性感染の方のうち、約70~80%の方は、特に自覚症状もないまま治癒しますが、20~30%の方は、「急性肝炎」を発症します。主な症状としては、全身倦怠感や嘔吐、食欲不振、黄疸などがあります。症状が治まったころには、ウイルスは身体から排除されており、B型肝炎ウイルスの抗体を獲得しているため、以降はB型肝炎ウイルスに感染することはありません

ただし、急性肝炎を発症した方のうち、1~2%は「劇症肝炎」を発症し、死亡する場合もありますので、上記の症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。 

持続感染した場合はどうなる?

一方、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合、そのうち80%強は感染していても症状がでない状態(無症候性キャリア)となります。しかし、持続感染者のうち、10~15%の方は慢性肝炎が発症し、そのうち、年2%が肝硬変に進行し、最終的には肝臓がんになる恐れがあります。

現在の医学では、持続感染した方の体内からB型肝炎ウイルスを完全に排除させることはできないとされているため、ウイルス量が多い方などは、核酸アナログ製剤などの抗ウイルス剤を投与し、ウイルス量を抑える治療を行なう必要があります。

そのため、無症候性キャリアであっても、定期的な検査や治療を続けることで、慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんへの進行を予防し、早期発見することが重要となります。

一過性感染は自然治癒するのか

上述したとおり、一過性感染の場合、基本的には感染から数か月の間に体内からB型肝炎ウイルスが排除されます。しかし、最近の研究では、健康に問題がない程度のごく微量のB型肝炎ウイルスは体内(主に肝臓)に残り続けることがわかっています。

ただ、そのウイルスは自身の免疫力で抑えられる程度のものであるため、B型肝炎ウイルスに感染したことがない人と同等として扱われるため、「自然治癒した状態」と判断されています。

ウイルスが「再活性化」することも

しかし、他の病気(例:がん、リュウマチ等)に罹患し、免疫抑制・化学療法などを用いた治療を受ける場合は状況が異なります。それらの治療薬の使用で免疫が抑制されてしまい、健康な状態であれば抑えることができていたはずのB型肝炎ウイルスの増殖を抑えることができなくなってしまいます。結果、一過性感染の人でも感染状態になってしまうことがあり、これを「ウイルスの再活性化」と呼びます。

ウイルスが再活性化したのちに、肝炎を発症することを「de novo B型肝炎」といい、重症化率・劇症化率が高いとされているため、注意が必要となります。

そのため、現在では、これらの治療を行なう前には、B型肝炎に関する血液検査を行ない、対象者には、B型肝炎ウイルスの再活性化予防治療をすることが推奨されていますが、もし、過去にB型肝炎に感染した事実があれば、医師に申告することをおすすめします。

一過性感染の自然治癒は、未感染とは異なる

よって、一過性感染の場合、言葉としては「自然治癒した」と言いますが、全く感染したことのない方(未感染者)とは違い、あくまでも「過去に感染したことがあるが、血液検査上は治っている状態」と考えておきましょう。

B型肝炎ウイルスに持続感染している状態とは

B型肝炎訴訟では、B型肝炎ウイルスに持続感染していると判断されるには、血液検査結果から、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • HBs抗原(HBe抗原、HBV-DNAを含む)が6か月あけた2時点で陽性であること
  • HBc抗体が陽性・高力価(※)であること
    ※ CLIA法で10.0S/CO以上であること

そのため、上記(1)~(2)にあてはまらない場合は給付対象者とはなりません。

一過性感染の場合はB型肝炎給付金の対象になる?

B型肝炎給付金の対象となるには、「B型肝炎ウイルスに持続感染している」という要件があるため、血液検査の結果、一過性感染を示す結果の場合、B型肝炎給付金の対象にはなりません

また、一過性感染者が、免疫抑制・化学療法により、ウイルスの再活性化を起こした場合、血液検査結果だけをみると、持続感染化している方と同様の結果になっている場合もありますが、元々、持続感染ではなく、一過性感染であることから、給付金の対象にはなりません

ただし、現状で「自然治癒」して、症状がなく、一過性感染(HBs抗原陰性とHBc抗体陰性もしくは陽性・低力価)を示す結果であったとしても、過去の血液検査結果から、B型肝炎ウイルスに持続感染していた(HBs抗原陽性2時点もしくはHBc抗体陽性・高力価)ことが確認できるものがあれば、給付対象になる可能性はあります。

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