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B型肝炎の抗体があると言われたらどうすればいい?抗体検査の数値について解説

目次
病院や健康診断などで血液検査を行なった結果、「B型肝炎の抗体がある」とか「過去に感染した跡がある」と言われることがあります。今回は、B型肝炎の抗体について説明していきます。
B型肝炎とは
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスが原因で起こるウイルス性肝炎のひとつです。B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染します。
感染経路としては、以下の2つがあります。
- 垂直感染…B型肝炎ウイルスに持続感染している母親から出産時に感染する(母子感染)
- 水平感染…性交渉、ピアスの穴あけや入れ墨などの器具の消毒不徹底、注射器の使い回しなどで感染する
なお、現在は母子感染防止策がとられているため、垂直感染することはほとんどありません。
B型肝炎の検査項目
B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査で確認します。B型肝炎ウイルスに関連する血液検査項目とその検査結果が示すものは以下の通りです。
検査の目的 | 検査結果 | 基準値 | |
---|---|---|---|
HBs抗原 | B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかの判定に使用される | 陽性の場合、B型肝炎ウイルスに感染している | 0.05IU/mL以上で陽性 |
HBs抗体 | HBs抗原に対する抗体で、過去にB型肝炎ウイルスに感染し、免疫を獲得しているかどうかの判定に使用される | 陽性の場合、過去にB型肝炎ウイルスに感染していた、もしくはB型肝炎ワクチンを接種した | 10.0 mIU/mL以上で陽性 |
HBe抗原 | B型肝炎ウイルスに感染しているかどうか、また感染力が強いかどうかの判定に使用される | 陽性の場合、B型肝炎ウイルスが活発に増殖しており、感染力が強い状態 | 1.0S/CO以上で陽性 |
HBe抗体 | HBe抗原に対する抗体で、ウイルス量と増殖が落ち着いている状態(感染力が弱い)かどうか判定に使用される | 陽性の場合、B型肝炎ウイルスの増殖が落ち着いている状態(感染力が弱い) | 阻害率50.0%以上で陽性 |
IgM-HBc抗体 | 急性肝炎の判定のため、使用される。 | 陽性の場合、最近にB型肝炎ウイルスに感染したことを示す。 | 1.0S/CO以上で陽性 |
IgG-HBc抗体 | IgM-HBc抗体に少し遅れてあらわれ、ほぼ生涯にわたって血中に存在し、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことを判定するため、使用される。 | 高力値ならB型肝炎ウイルスに持続感染している状態HBVキャリア、低力値なら過去の感染を示す。 | 1.0 S/CO以上で陽性(高力価:10.0S/CO以上で持続感染 ) |
HBV-DNA | B型肝炎ウイルスの遺伝子で、体内のウイルス量を判定するために使用される | 陽性の場合は、B型肝炎ウイルスに感染している状態を示す | 2.6Logコピー/ml以上で陽性 |
HBs抗体が陽性の場合
血液検査結果の結果、HBs抗体が陽性だったということは、B型肝炎ウイルスに一過性感染していたことを示します。
一過性感染とは、B型肝炎ウイルスに感染したことはあるが、免疫機能によりウイルスを体外に排出し、免疫(抗体)ができている状態のことをいい、この抗体には、B型肝炎ウイルスへの感染を防御する働きがあります。
また、B型肝炎ワクチン(HBワクチン)を接種した場合も、HBs抗体陽性となります。
基準値は、検査方法により違いがありますが、CLIA法の場合10.0 mIU/mL以上で陽性となります。
HBe抗体が陽性の場合
HBe抗体は、HBe抗原に対する抗体であり、HBe抗原が減少すると陽性になります。
そのため、HBe抗体が陽性になっているということは、ウイルス量と増殖が停止した状態となり、感染力が弱くなったことを示します。
基準値は、検査方法により違いがありますが、CLIA法の場合10.0 mIU/mL以上で陽性となります。
HBc抗体が陽性の場合
HBc抗体には「IgM-HBc抗体」と「IgG-HBc抗体」の2種類があります。
まず、「IgM-HBc抗体」は、急性肝炎かどうか判断するための検査で、陽性の場合、最近、B型肝炎ウイルスに感染したことを示します。IgM-HBc抗体は、数か月を目安に陰性となります。
「IgG-HBc抗体」は、「IgM-HBc抗体」が発生したあとに発生し、一生涯に渡り、陽性となり、過去にB型肝炎ウイルスに感染していたことを示します。
基準値は、検査方法により違いがありますが、CLIA法の場合、1.0S/CO以上で陽性となります。
なお、IgG-HBc抗体の数値が高力価(10.0S/CO以上)の場合は、持続感染として判断されます。
B型肝炎の抗体検査はどんなときに行われているのか・・・
B型肝炎の抗体検査(主に「HBs抗体」)は、主に以下のようなときに検査されています。
- B型肝炎ウイルスの感染が疑われるとき
- 入院や手術をするとき
- B型肝炎ウイルスに影響を及ぼすような薬剤を使用するとき
- 健康診断や人間ドックのとき
- 献血のとき
- 医療従事者として医療機関等で勤務するとき
すべてB型肝炎ウイルスに感染しているか、または、過去に感染したことがあるかどうかを調べるため、抗原検査(主に「HBs抗原」)とともに、抗体検査を実施していることが多いです。
B型肝炎の抗体検査を受けるには・・・
B型肝炎の抗体検査を受けるには、主に以下の方法があります。
(1) 健康診断や人間ドックなどのオプションとして追加する
健康診断や人間ドックによっては、B型肝炎抗体検査が含まれている場合もありますが、検査結果を確認し、検査項目に含まれていない場合は、追加オプションとして受けられる場合があります。
(2) 医療機関で抗体検査を実施する
医療機関によっては、B型肝炎ウイルス抗体検査を依頼し、実施してもらうことができます。ただし、B型肝炎の治療に関する検査ではないため、健康保険適用外となる可能性が高いです。
それぞれ、検査費用については医療機関ごとに違いがありますので、概ね3,000~5,000円前後が多いですが、事前に確認することをおすすめします。
B型肝炎給付金とは
B型肝炎給付金は、幼少期に受けた集団予防接種等が原因でB型肝炎ウイルスに持続感染してしまった方に対し、病態に応じ、50~3600万円を支払うものです。
対象となるには、要件があり、それに当てはまることが確認できる証拠書類を用意し、国を相手に裁判を起こし、和解する必要があります。
B型肝炎の給付金の対象となるのは
B型肝炎給付金の対象となるには、「B型肝炎ウイルスに持続感染している」ことが必要です。
持続感染しているとは、B型肝炎ウイルスが体内に残り続けている状態をいい、過去にB型肝炎ウイルスに感染し、すでに治癒している状態(「一過性感染」といいます)は手続きの対象外となります。
血液検査結果からみる持続感染と一過感染とは
上述したとおり、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査結果で確認します。 B型肝炎給付金では、持続感染している状態とは、以下の通りに定められています。
- HBs抗原、HBe抗原、HBV-DNA検査のうち、いずれかが6か月空けた2時点で陽性であること。
- HBc抗体検査が陽性かつ高力価であること
そのため、HBs抗体陽性というだけでは、一過性感染と判断されてしまうため、給付金の対象にはなりません。
HBc抗体が陽性の場合は手続きの対象となるか?
上述したとおり、B型肝炎ウイルスに持続感染していることが条件となり、そのなかには、「HBc抗体陽性かつ高力価」というものがあります。
高力価と判断されるには、HBc抗体検査が陽性だけでは足りず、CLIA法で行なった場合、その結果が「10.0S/CO以上」である必要があります。(CLEIA法の場合、「100C.O.I以上」)
そのため、HBs抗原が陰性でも、HBc抗体陽性かつ高力価であれば、B型肝炎ウイルスに持続感染している、と判断されるため、手続きの対象となる可能性はあります。
一方、HBc抗体陽性でも、低力価(10.0S/CO未満)の場合は、抗原検査のいずれかが陽性ではない限り、一過性感染と判断されるため、手続きの対象外となります。
ただし、検査方法や検査試薬等によっては、高力価基準が定められていないものもあるため、注意が必要です。
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