B型肝炎訴訟とは?訴訟から給付までの流れ 手続きにどれくらいかかるか説明します

B型肝炎訴訟とは?訴訟から給付までの流れ

B型肝炎給付金は、どのようにして認められ、支払われるのか…
ここでは、弁護士が依頼したあとから、国に対しての請求、給付金が支払われるまでについて説明していきます。

これまでの経緯

1948年、感染症の予防・症状の軽減、蔓延防止などを目的として、「予防接種法」が制定されました。当時、予防接種は罰則付きの強制接種であり、全国の自治体では、集団予防接種制度が確立されました。

制定当時から、海外では注射器の連続使用によって、血清肝炎感染の危険性が指摘されていました。しかし、国はその危険性について認識していたものの、注射器の交換について通達は出したものの、国の対応が不十分であったことから、注射器の交換が徹底されることはなく、1987年に注射器の交換が徹底されるまでの間、注射器の連続使用が行われたことにより、B型肝炎の被害が拡大してしまいました。

1989年6月、B型肝炎患者5名が、国に対して損害賠償を求めて、札幌地方裁判所に提訴し、約17年もの間、争った結果、2006年、最高裁判所は、国の責任を認めました

しかしながら、同じ被害者全体の救済対策を取ることを求めたにもかかわらず、国・厚生労働省はこれを拒否したため2008年以降、全国10地裁で被害者が集団で提訴して戦ってきました。

その結果、2010年5月より、札幌地裁で全国の原告および将来提訴原告を対象とした和解協議が全国原告団と国との間で始められました。苦難の末、提訴後3年を経過した2011年5月13日、札幌地裁の和解所見(基本合意書案)を原告・国双方が受諾することを正式に確認しました。それを受け、2011年12月9日に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立し、国が被害者に給付金を支払う体制が整いました。

1989年札幌地裁に提訴
2006年国の責任を認める。ただし、5人以外の責任は認めなかった。
2008年3月新たに札幌地裁で5人の患者が提訴
2008年5月全国の裁判所でB型肝炎訴訟が始める
2011年国と患者の間で「基本合意書」を締結
2012年「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」施行

給付金について

B型肝炎給付金とは、満7歳までに受けた集団予防接種などが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染してしまった場合、国がその対象者に給付金を支払うものです。

B型肝炎給付金の対象となるのは、国が定めた5つの要件を満たしている必要があります。5つの要件とは、以下の通りです。

① B型肝炎ウイルスに持続感染していること
② 満7歳までに集団予防接種等を受けていること
③ 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
④ 母親からの感染ではないこと

その他、集団予防接種等以外に感染原因がないこと

給付金額

B型肝炎訴訟では、国と和解が成立した後、社会保険診療報酬支払基金に対して給付金の支払請求を行ない、給付金を受領します。ここでは、病態などに応じて受け取れる金額を一覧としてまとめています。

死亡・肝がん・肝硬変(重度)の場合

死亡後20年が経過していない、もしくは、発症後、20年が経過していない3,600万円
死亡後20年が経過している、もしくは、発症後、20年が経過している900万円

肝硬変(軽度)の場合

発症後、20年が経過していない2,500万円
発症後、20年が経過していて、現に治療を受けている等の場合600万円
発症後、20年が経過していて、上記以外の場合300万円

慢性肝炎の場合

発症後、20年が経過していない1,250万円
発症後、20年が経過していて、現に治療を受けている等の場合300万円
発症後、20年が経過していて、上記以外の場合150万円

無症候性キャリアの場合

感染後、20年が経過していない600万円
感染後、20年が経過している50万円

B型肝炎給付金を請求する方法とは…?

B型肝炎給付金の請求は、新型コロナウイルス感染症の経済対策として行われた「特別定額給付金」などとは違い、申請するだけでは給付金は支払ってもらうことはできません。

上記の5つの要件に満たしていることが確認できる証拠書類を集め、裁判所に対し、国を相手に「国家賠償請求訴訟」を提起する必要があります。

給付金を受け取るには…?

給付金を受け取るには、まず、本人が提出した証拠書類が救済要件を満たしている必要があり、要件を満たすことが確認できた場合、国との間で「和解調書」を取り交わします。国と和解成立し、「和解調書」が交付されたら、実際に給付金を受け取るため、「社会保険診療報酬基金」に必要書類を提出することで、同基金から給付金が支払われます。

B型肝炎給付金を受け取るまでの手順と期間について

ここでは、B型肝炎給付金を受け取るまでの流れとその期間について説明していきます。

①証拠書類収集と訴状作成

まず、ご依頼を受けたら、手続きに必要な証拠書類を収集し、裁判所に提出する訴状を作成します。

ここで集める証拠書類は、上述した5つの要件を満たせる書類のことをいい、具体的には、医療記録(カルテや診断書、検査記録等)や公文書(戸籍謄本、住民票等)、母子手帳(ない場合は、接種台帳や接種痕意見書等)などを取り寄せして、要件が満たせるかどうか確認していきます。

必要書類が揃ったら、訴状を作成します。

受任してから訴状作成までの期間は、約2~4か月程度かかります。

②提訴

訴状が作成できたら、証拠書類とともに、裁判所に提出します。

その際、収入印紙と郵便切手をあわせて納めます

③和解期日

提訴すると、和解期日が設定され、その日に弁護士が裁判所に出頭します。

その間に、国は提出された訴状に誤りがないかどうか、証拠書類が要件に満たしているかどうかを確認します。

国が証拠書類のチェックにかかる期間として、現在は1年くらいかかります

国から追加で資料を求められることもあり、その場合、さらに確認のための期間が延びることになります。

④和解成立

国が証拠書類のチェックを行ない、要件を満たすと判断した場合、弁護士に対し、和解案が提示され、内容に問題ない場合は、和解成立となり、和解調書が作成されます。

⑤給付金請求

和解成立した場合、社会保険診療支払報酬基金に対し、給付金等支払請求書や住民票など、必要な書類を送ります。

その後、約1~2か月で、給付金等が支払われます。

訴訟の手引き

B型肝炎給付金は、国を相手に提訴する必要があります。

裁判は、弁護士に必ず依頼しなければできないということはなく、本人でも提訴することができることから、厚生労働省では、ご本人で提訴を考えている方に向けて、B 型肝炎訴訟の和解手続 の流れや必要となる証拠資料等についてまとめた「B型肝炎訴訟の手引き」を作成しておりますので、参考にしてください。

本人で手続きをするか迷われている方は、それぞれメリット・デメリットがあります。

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