B型肝炎で母子感染でないことを証明するには? 母子感染でないことを証明するには、母親の血液検査が必要になります。

弁護士岡田 聡
<監修者> 弁護士 岡田聡
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B型肝炎で母子感染でないことを証明するには?

一次感染の場合、母子感染でないことの証明が必要

集団予防接種等が原因でB型肝炎ウイルスに感染した場合、その症状や感染・発症時期によって金額は異なりますが、国から給付金を受け取ることができます。ご本人が集団予防接種等が原因でB型肝炎ウイルスに感染している、いわゆる一次感染のケースでは、給付金を受け取る要件の一つとして、母子感染でないことを立証する必要があります。その理由は、B型肝炎ウイルスの感染原因の多くが母子感染であるとされているためです。

母子感染とは、B型肝炎ウイルスに感染した母親が子どもを出産する場合、主に産道における血液を介して子どもが感染することです。HBe抗原が陽性(ウイルスの増殖力が強いことを示します)の母親から産まれた子どもは、そのほとんどがB型肝炎ウイルスに感染すると言われています。日本では、1986(昭和61)年から母子感染予防事業が始まり、現在では、HBs抗原陽性の母親から産まれた子どもについては、生後5日以内(12時間以内が推奨)にHBIG(B型肝炎免疫グロブリン)の注射をするとともに1回目のHBワクチンを接種し、以後、生後1か月に2回目、生後6か月に3回目のワクチンを接種します。他方、2016(平成28)年4月1日以後、HBs抗原陰性の母親から産まれた子どもについても、生後2か月、3か月及び生後7~8か月にそれぞれワクチンを接種することになっており、感染が予防されています。

母親の血液検査が必要に

母子感染でないことを証明するには、母親の血液検査の結果が必要になります。血液検査の結果で、HBs抗原陰性かつHBc抗体陰性(または低力価陽性)が認められたら、母子感染でないことの証明となります。

(1)母親が存命の場合

B型肝炎ウイルスに関する血液検査結果がない場合には、医療機関で血液検査を受けてもらうことになります。なお、上で述べたとおり、「HBs抗原」と「HBc抗体」という2つの検査結果が必要となりますので、検査を受ける際には注意が必要です(「HBc抗体」の方は言わないと省略されてしまうことも多いようです)。また、検査結果には、母親の氏名だけでなく、生年月日が記載されている必要があります。 加えて、検査方法によって陽性・陰性の基準が異なりますので、検査方法(例:「CLIA法」)も分かる検査結果を出してもらう方が良いでしょう。

(2)母親が亡くなっているが、生前の血液検査結果がある場合

母親が亡くなっている場合は、過去に通院や入院していた医療機関に生前に行なった血液検査結果があるかどうか照会することになります。80歳未満の時点に行なわれた血液検査結果であれば、HBs抗原が陰性であることが認められたら、母子感染でないことを証明できます。他方、80歳以上時点の血液検査結果しかない場合、HBs抗原が陰性であることに加え、HBc抗体陰性(または低力価陽性)であることが認められる必要があります。

この違いは、80歳以上になると、B型肝炎ウイルスに持続感染していても、ウイルス量が減少していて、HBs抗原の検査結果が陰性となることが無視できないとされているためです。そのために、80歳以上についてはHBc抗体の検査結果も求められています。

(3)母親が亡くなっていて、血液検査結果がない場合

母親が亡くなっていて、母親の血液検査結果がない、もしくは上の(2)の要件を満たさない場合、年長のきょうだいのうち一人でも持続感染していないことを証明すれば、母子感染でないことを立証することができます。これは、仮に母親がB型肝炎ウイルスに感染していた場合、上で述べたとおり、以前は生まれた子供のほとんどがB型肝炎ウイルスに感染していました。そうすると、年長のきょうだいがいる場合、そのきょうだいも感染しているはずです。したがって、逆に年長のきょうだいが感染していなければ、母親も感染していないことになり、その後に産まれた子どもについても母親からの感染が否定されるのです。

そのため、年長のきょうだいの血液検査結果が、HBs抗原陰性かつHBc抗体陰性(または低力価陽性)であれば、母子感染が否定されます。

なお、上の(1)~(3)の要件を満たさない場合でも、医学的知見を踏まえた個別的判断によって、母子感染によるものでないことが認められることはあります。

二次感染の場合、母子感染したことの証明が必要

母親が集団予防接種等による一次感染者で、その子どもが母親から二次感染した場合、その子どもが国から給付金を受け取るための一つの要件として、母子感染であることを立証しなくてはいけません(一時感染の場合とは逆です)。その場合、以下のいずれかの資料が必要となります。

  • 二次感染者が出生直後に既にB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料
  • 二次感染者と母親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果(※)

HBV分子系統解析検査のことを指します。給付金を受け取れることになった場合には、この検査費用として6万3000円が支給されます。

そのほかにも、母子感染とは異なる原因の存在が確認されないことを立証する方法も認められています。そのためには、以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 二次感染者の出生前に母親の感染力が弱かったこと(HBe抗原が陰性であったこと)が確認されないこと
  • 二次感染者が1985(昭和60)年12月31日以前に出生していること
  • カルテなど医療記録に母子感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な記載がないこと
  • 父親が持続感染者でないか、もしくは父親が持続感染者の場合であっても、二次感染者と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されないこと
  • 二次感染者のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeでないこと

B型肝炎で母子感染でないことを証明するには? まとめ

  • 一次感染の場合、母子感染でないことを証明する必要がありますか?
    はい。感染の原因が母子感染でないことを立証する必要があります。その理由は、B型肝炎ウイルスの感染原因の多くが母子感染であるとされているためです。
  • 一次感染で母子感染でないことを証明するには、母親の血液検査結果が必要?
    はい。母子感染でないことを証明するには、母親の血液検査結果が必要になります。母親が亡くなっていて、血液検査結果がない場合や80歳以上の時点での検査で検査項目が不足しているような場合、年長のきょうだいのうち一人でも持続感染していないことを証明すれば、母子感染でないことを立証することができます。
  • 二次感染の場合、母子感染したことを証明する必要がある?
    はい。母親が集団予防接種等による一次感染者で、その子どもが母親から二次感染した場合、母親が集団予防接種等によって(一次)感染したことに加え母子感染であることを立証しなくてはいけません。
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