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- 「音信不通の相続人」編
音信不通の相続人
2014年8月19日に文化放送「くにまるジャパン」に出演した際に話した内容を掲載しています。 テーマは「音信不通の相続人」です。
- パーソナリティ
- お盆明けです。中には、仕事が忙しくて帰省できない、あるいは、遠方なので何年も帰っていない…といった方も、たくさんいらっしゃるでしょうね。
- 弁護士
- 帰省していなくても、連絡が取れればいいのですが、長いこと音信不通で、どこでどうしているのかわからない…そんな家族をお持ちの方も、けっこういらっしゃいますよね。
こういう場合、「相続」のときに困ることがあります。先々週もお話ししましたが、誰がどの財産をどれだけ相続するかを話し合って決める「遺産分割協議」は、相続人全員でやらないと無効になってしまうからです。 - パーソナリティ
- 音信不通の場合、どうすればいいんでしょう?
- 弁護士
- 弁護士にご相談いただくのがよいと思います。戸籍を辿るなどして、その方の居場所を探し、その上で遺産分割協議に応じるよう呼びかけます。応じてくれれば、問題なく終わることもありますが、うまくいかないと、調停や審判を行なう必要が出てきます。
私が経験したケースでは、父親が亡くなった後、30年間も行方不明だった母親が現われ、「自分の相続分、2分の1をよこせ」と申し立ててきた事件がありました。 - パーソナリティ
- どうなったんですか?
- 弁護士
- 土地と建物を相続するはずだった長女の方が、それを売却せざるを得なくなりました。先々週お話しした「代償分割」、長女が土地・建物を取得する代わりとして、母親の相続分2分の1に当たるお金を渡すことが出来れば良かったのですが、結局、その金を用意できなかったので「家を競売して、代金を法律で定められた持分に従って分割しろ」という審判が出てしまったんですね。
- パーソナリティ
- 娘さんの立場だと、たまったものじゃないですね…。
- 弁護士
- 理不尽な感じを受けられると思いますが、法律に従うとこうなってしまいます。
ただ、相続の前に「両親は離婚していないので、何かあれば母親にも渡さねばならない」と知っていたら、受け取り方もだいぶ変わっていたかも知れません。こうしたケースに思い当たる方、ともかく弁護士にご相談いただきたいですね。 - パーソナリティ
- 先ほど、戸籍をたどって消息を探すという話がありましたが、実際にはどのような作業をされるんでしょう?
- 弁護士
- 役所で戸籍を申請するとき、書類には「戸籍謄本」「除籍謄本」そして「改製原戸籍謄本」という欄があります。
「除籍」は戸籍に載っている人が結婚や死亡で全員いなくなるか他の市町村に移った場合のもの。
「改製原戸籍」は、明治以降、戸籍の作り方が5回変わっていてその変更される前の戸籍のことを言います。 - パーソナリティ
- なかなか複雑ですね。
- 弁護士
- はい。ほとんどの場合、相続人調査は、現在の戸籍だけでは終わりません。相続には、出生から死亡まで途切れなくつながったすべての戸籍と相続人全員の現在の戸籍が必要です。
戸籍には、出生日・父母の名前など基本的なデータのほかに、「どこの戸籍からいつ入ってきたのか」が書いてありますので、それを頼りに、その前、その前…と辿っていくことができるんです。郵送でも取り寄せられますが、けっこう大変な作業です。 - パーソナリティ
- はっきりいってシロウトにはきついですね。
- 弁護士
- 相続人の中に音信不通の人がいる場合など、相続に関するお悩みがあれば、ぜひ、弁護士など、専門家のアドバイスを受けることをお勧めしたいですね。
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