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相続放棄はじっくり考えて
2014年11月4日に文化放送「くにまるジャパン」に出演した際に話した内容を掲載しています。 テーマは「相続放棄はじっくり考えて」です。
- パーソナリティ
- 今週は「相続」のお話。
「相続放棄」について、気になるデータがあるそうですね。 - 弁護士
- 実は、相続放棄の申立件数が、年々増えています。
20年ほど前は、相続人ベースでおよそ5万8000件だったのが、去年はその3倍近く、17万件を超えたそうです。
バブル崩壊後の不況が響いているのかもしれません。
「相続放棄」は、主に、親が多額の借金を抱えて亡くなった時、子供が相続しなくていいように使われる制度ですから…。 - パーソナリティ
- 「相続放棄」ってどうやるんですか?
- 弁護士
- 相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に書類で申請する必要があります。
- パーソナリティ
- 借金の相手に「相続放棄しますよ」と言うだけではダメなんですね。
- 弁護士
- 全然ダメなんです。裁判所に申請しないといけません。
相続放棄をすると、もともと相続の権利を持っていた人が、「始めから相続人ではなかった」とみなされます。相続人ではないので、借金も相続しなくていい、ということになるわけです。 - パーソナリティ
- 相続放棄すると、借金の請求は誰にいくんですか?
- 弁護士
- 相続は法律で順番が決まっています。
まずは、妻のほかに子供。子供がいなければ両親、両親がいなければ兄弟が相続することになります。
ですから、妻と子供が、借金の相続放棄をしたら、両親、兄弟にも、順次、相続放棄してもらう必要があります。 - パーソナリティ
- じゃあ、相続放棄の影響を受ける親族の方には、あらかじめ話しておいた方がいいですね。
- 弁護士
- はい。
借金の相続放棄の手順は、今お話しした通りです。
この「相続放棄をすると、法律の順番どおりに、次の人に相続する権利が移っていく」ことは、プラスの財産があるときも頭に入れておいた方がいいんですよ。 - パーソナリティ
- というと?
- 弁護士
- たとえば、父親が亡くなり、母と子供2人が相続人、財産は家だけ。
この場合、子供にも4分の1ずつ取り分がありますが、「お母さんにはそのまま暮らし続けてほしい」という場合、子供たちは「相続放棄」ではなく、「遺産分割協議で取り分をゼロと決める」のが正解なんです。 - パーソナリティ
- うっかり「相続放棄」するとどうなっちゃうんです?
- 弁護士
- 相続上は、「最初から子供がいなかった」ことになって、おじいちゃん、おばあちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんが亡くなっているとおじさん、おばさんにも、相続する権利が発生する可能性がでてきます。
- パーソナリティ
- それらの人々が「自分の取り分が欲しい!」といってきたら、ややこしいことになりそうですね。
- 弁護士
- そういうことです。
ですから、この場合に行なうべきは、遺産分割協議です。母親が家を相続し、子供2人は何もいらない、ということで3人とも納得しているなら、法律で定められた法定相続分とは関係なく、また遺言書があっても、それと関係なく、遺産を分けられます。
母の取り分を100、子供をゼロと定めるわけです。 - パーソナリティ
- なるほど。
関係する人が多くなりそうだっていうときは、手続を間違うと大変ですね。
相続について、何か判断しなければならないときは、専門家にアドバイスを求めるのが賢明かと思います。
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