遺言書作成のすすめ

2014年9月2日に文化放送「くにまるジャパン」に出演した際に話した内容を掲載しています。 テーマは「遺言書作成のすすめ」です。

パーソナリティ
このコーナーでは、お盆の時期からずっと、相続についての話題をお届けしてきました。相続財産の調べ方、また、相続人に音信不通の人がいたらどうするか、など、聞けば聞くほど、遺された家族は大変だなと思います。
弁護士
遺されるご家族の負担をできるだけ軽くするためにも、やはり強くお勧めしたいのが「遺言書」の作成です。
うちは財産がないから関係ない、という方も多いと思います。でも実は、そういう方にこそ、お考え頂きたいんですね。去年の家庭裁判所の遺産分割に関する調停の統計では、遺産が5000万以下のケースが全体の4分の3を占めています。しかも、その件数は、年々増加しているんです。
パーソナリティ
財産が多いから揉める、というわけじゃないんですね。
弁護士
ある程度の財産、かなりの財産があれば、たとえば妻には自宅、長男には賃貸に出しているマンション、次男には現金と株式…といった具合に分けることもできます。でも財産が自宅だけだったら?
  
パーソナリティ
取り合いになるかもしれませんね。
弁護士
以前お話ししたように、子どもたちが「母さん住み続けて」と申し出れば円満解決ですが、「自分の取り分が欲しい!」とあくまでも主張したら、母親はその分のお金を渡す必要があります。お金を用意できなければ、家を売ることにも…。
パーソナリティ
父親が「家は母さんに残してほしい」と書き残していれば、子どもたちの受け取り方も変わってくるかもしれませんね。
弁護士
そうなんです。遺される家族が揉めないためにもぜひ、遺言書を書いていただきたいです。ただ、遺言書は、ご自分で書くこともできますが、内容に不備があると、無効になるので注意が必要です。よくある例では、日付や署名、ハンコがない、というものがありますね。
パーソナリティ
せっかくの気持ちがムダになってはもったいないですよね。どうすれば正式な遺言書が書けますか?
弁護士
遺言書には3種類あります。「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」そして「公正証書遺言」です。
一番ポピュラーなのが、「自筆証書遺言」です。必ず手書き。ワープロはダメです。また、さきほど挙げたような日付や押印がないなどの不備があれば無効です
パーソナリティ
「秘密証書遺言」というのは?
弁護士
「中身は秘密だが遺言はあるよ」と、遺言書の存在を知らせておくときに作っておくものです。これも不備があると無効になる可能性があります。
パーソナリティ
ということは、「公正証書遺言」が安全?
弁護士
はい。これは専門家である公証人に口で要望を伝え、書類を作成してもらうものです。手続きが多少面倒で、費用もかかりますが、内容の不備で無効になることはまず、ありませんし、保管もしてくれるので安全です。
パーソナリティ
まず、ない。ということですが、無効になるのはどんなケース?
弁護士
非常に稀なケースですが、私が経験したものでは、弁護士が指導して公正証書を作ったのに、その弁護士が連れて行った証人が相続人で、証人になる資格がない、証人欠格者だった、というケース。よほどのことがない限り、無効にはなりません。
パーソナリティ
万全を期すには、「信頼できる」弁護士さんに相談して、「公正証書遺言で」ということですね。

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