人事・労務 - メンタルヘルス

ストレスチェックストレスチェックの導入と運用について

ストレスチェック制度の導入

厚生労働省は平成18年3月31日「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」を策定し、職場におけるメンタルヘルスケアの実施を促進してきましたが、平成26年6月25日に労働安全衛生法第66条の10が新設され、これに伴い労働安全規則が改正され、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)及びその結果に基づく面接指導の実施等を内容としたストレスチェック制度が新たに創設されました(平成27年12月1日施行)。

従前は、長時間労働者から申し出があれば、医師による面接指導を行うこととなっていましたが(時間外労働及び休日労働が100時間超なら強制、80時間以上なら努力義務)、ストレスチェック制度では、事業者は常時使用する労働者全員に医師等(保健師、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士が含まれる)によるストレスチェックを受けさせることとなっています。

実施の時期・方法

ストレスチェックは1年以内ごとに1回、定期的に行わなければならず、同検査は職場における当該労働者の職場における心理的負担の原因、心理的な負担による心身の自覚症状、他の労働者からの支援に関する項目を含むものでなければなりません。法第66 条第1項において、ストレスチェックは健康診断から除くこととされたため、健康診断の問診の中で法に基づくストレスチェックをそのまま実施することはできません(労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル37頁)。

厚労省は、同マニュアルにおいて、ストレスチェックの際用いる調査票として57項目からなる「職業性ストレス簡易調査票」を公表し、これによるのが望ましいとしています(簡略版の23項目のものもある)。

結果の通知・秘匿

事業者は医師等から検査を受けた労働者に対し遅滞なくストレスチェックの結果が通知されなければならず、当該医師等は、当該検査を受けた労働者の書面による同意を得ることなしに(就業規則で包括的に同意を取得することはできない。)、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはなりません(労安法第66条の10第2項、規則52条の12及び13)。

面接指導・不利益扱いの禁止

ストレスチェック結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると医師等が認めた労働者から遅滞なく申出があった場合は、事業者は、当該労働者に対して、遅滞なく医師(医師等ではない)による面接指導を実施しなければならず、申し出たことを理由に不利益な取り扱いをしてはなりません(労安法第36条の10第3項、規則第52条の15及び16)。

医師からの意見聴取、面接結果の記録・保存

医師は、当該労働者の勤務の状況、心理的な負担の状況ほか、心身の状況について確認するものとされ(規則第52条の17)、事業者は、医師から「当該労働者の健康を保持するために必要な措置」についての意見を聞かなければならず(労安法第66条の10第5項)、その意見も含めた面接結果を記録し、これを5年間保存しなければなりません(労安法第66条の10第4項、規則52条の18)。

軽減措置等の実施

そして、事業者は医師の前記意見を勘案し、その必要ありと認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会もしくは安全衛生委員会又は労働時間当設定改善委員会への報告等適切な措置を取らなければなりません(労安法第66条の10第6項)。

中小企業への猶予措置

労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務とされている。労働者数50人以上の労働者を使用する事業者は1年以内ごとに1回、定期に検査結果報告書を所轄の労働基準監督署署長に提出しなければなりません(規則52条の21)。

参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル

参考:心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(ストレスチェック指針)

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