労働訴訟訴訟を起こされた際にまずすべきこととは

「訴訟で焦点となるポイントがわからない」

「訴訟を起こされてしまった後の対応に困っている」

「解雇をした従業員から過去に遡って賃金の支払いを求められている」

裁判所には労働審判を行っているところと、行っていないところがあります。労働審判を行っているのは本庁が多く、支部は通常労働審判を行っていません。労働審判を行っている裁判所では、まず労働審判が行われ、調停が不調に終わり、審判となり、それに対して一方から異議が申し立てられてから、初めて労働訴訟手続きに入りますが、労働審判が行われていない裁判所では、最初から訴訟手続きで行われます。

労働審判の結果が、そのまま訴訟手続きで引き継がれる訳ではありませんが、審判での主張・証拠をもとに、心証が作られてしまい易いために、労働訴訟で勝つためには、労働審判で十分な主張・立証活動を行っておく必要があります。

労働訴訟のポイント

労働訴訟には、解雇無効確認、懲戒処分無効確認、賃金差別を理由とする損害賠償、セクハラ・パワハラを理由とする損害賠償、割増賃金(残業代)、就業規則の不利益変更による未払い賃金、配転無効確認、長時間労働による過労死・精神障害を理由とする損害賠償等、各種の事件が扱われます。

団体交渉が行われないまま、あるいは、不十分なまま労働訴訟を迎えると、争点の所在が十分明確にならないまま、審理・調停を迎えるため、十分な審判の遂行ができません。これは訴訟を提起する側たる労働者側において強く意識すべき事柄ですが、使用者側においても、不誠実な団体交渉を行った場合、裁判所の心証にも良くない影響が出る可能性があるため、団体交渉から勝負が始まっていると考えた方がいいでしょう。

さらに言えば、普通解雇・懲戒解雇の有効性を争われている事案では、解雇した時点で勝負が決まってしまうことがあります。普通解雇も懲戒解雇も、その有効性は解雇事由ごとに判断されます。勤務態度不良を理由とする解雇を行っているうちに、それでは解雇するに不十分だと考え、新たにセクハラも理由に加えるといったことは許されません。セクハラを主張するなら、そのことを理由とする解雇を改めて行う必要があります。その後、勤務態度不良を理由にした解雇は無効だが、セクハラを理由とする解雇が有効だと裁判所が判断しても、セクハラを理由とする解雇までに発生した賃金及び解雇予告手当1か月分を支払わなければなりません。

よく、解雇した1年後に、解雇した従業員から解雇無効を言われた場合、1年もたっているから、解雇を承諾したとみなされるとか、1年も経ってから解雇の無効を主張するのは信義則に反するという主張が行われますが、従業員の立場が弱いことを理由に、そうした主張は認められないことが多いでしょう。

セクハラを理由とする損害賠償事件

セクハラを理由とする損害賠償事件は最近増えてきていますし、今後もさらに増えることでしょう。セクハラを理由とする損害賠償では、セクハラ自体の不法行為性だけでなく、会社の対応も強く問われます。そのため、セクハラに対する社内体制が、予防と事件対応の両面において問われます。よく、セクハラの加害者と被害者間のメールが書証として提出されます。

例えば、社内の懇親会の席でセクハラがあった場合、被害者が加害者に対して迎合的な内容のメールを送ったとして、使用者側が被害の不存在を主張する場合です。しかし、セクハラの被害女性は、セクハラに対する拒絶的反応をしたことで、仕事に影響が出るのではないかと恐れ、迎合的な内容のメールを送ることがよくあるため、こうしたメールが有利な証拠となるとは限りません。

長時間労働を理由とする損害賠償事件

過労死の事件では、長時間労働の程度が重要です。厚労省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」では、業務上起こりうるストレス原因を強、中、弱の三段階に分け、「強」のストレスがあって、うつになった場合は、原則労災認定する仕組みになっています。

同基準は「発症直前の過去1ヶ月に80時間以上の時間外労働」は「中」、「過去2ヶ月間に月約120時間以上」ないし「過去3ヶ月間に月約100時間以上の時間外労働」ならば「強」としています。この時間が絶対的な基準となる訳ではありませんが、この時間を超えての労働があれば裁判所の心証はかなり不利になるでしょう。

こうした長時間労働のほかに、過重な責任を負わされた、全く経験のない仕事を任されたが何の支援もなかった、体の不調を上司に訴えたが取り上げてもらえなかった等、会社側の責任とみられるストレス等の事情が認められれば心証はますます不利なものになり、自殺したことに対する損害賠償さえ認められることにもなります。

給料引き下げを理由とする損害賠償事件

給料の引き下げ、降格も本人の同意があれば、損害賠償の対象にはなりませんが、こうした労働者にとって極めて不利益な取り扱いが有効とされるには「真実の同意」があったことが求められます。労働者は使用者との関係では、弱い立場に立たされていますので、同意さえあればいいと単純に解してしまうと、労働者の地位が十分に守られないという判断が背後にあります。

賃金引を引き下げが有効かどうかは、賃金引下げの必要性、引き下げられた賃金の水準・内容、代償措置などが講じられているかどうかばかりではなく、会社が労働者に対して、こうした情報を労働者に伝え、納得を得られるよう十分な協議をしているかが重要になります。会社が経営危機に陥り、管理職に対し賃金引下げを通告したが、その際、理由を十分に説明せず、意思確認を行わなかったという場合、労働者からも特別に反対の意見も出なかったからと言って、真実の同意があったとはみなされないとされかねません。

また、引き下げ後の給料を1年間文句を言わず受け取っていたというような事情があっても、それだけで、真実の同意があったとはされません。賃金引き下げが有効になるには、正当な理由があるのはもちろん、そのことについて労働者と十分な協議を行ったかという手続き的な面が非常に重要になるのです。

労働訴訟を弁護士に依頼するメリット

訴訟を起こされたら、まず相手側との和解に応じるか、判決を求めるかの判断が求められます。経営者にとってどちらの手続きが最善の結果をもたらすのかについて、事実関係を整理・把握し、他の従業員への影響も考え、慎重な判断をしなければなりません。

これらの判断には法的な専門知識を要する専門家のアドバイスが必要になります。ことに、訴訟で、未払い給料を請求されている場合、これを認める判決が出た場合、付加金といって未払い給料の倍額の支払いを求められることがあるため、和解せずに判決を求めることには大きなリスクがあるので注意が必要です。

弁護士に依頼をすることで、会社の信用を低下させることなく和解案を調整することができます。実際に訴訟を行う際には、依頼者と話し合いをしながら、勝訴を勝ち取るための主張を組み立てます。訴訟を起こされた後の対応はもちろんですが、労働者から訴えられないための労働環境の整備や労働条件の調整、解雇の際のアドバイスなどに応じられます。お気軽にご相談ください。

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