平成21年1月22日、過払い金返還請求に関して、最高裁は画期的な判決

2009年01月23日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

東京都内の男性が東日本信販に対して起こした過払い金請求訴訟で、平成21年1月22日、最高裁が画期的な判決を出しました。これまでの裁判では、支払い終わってから10年たつと、時効を理由に過払い金請求を認めてもらえない例が多くありました。しかし、この判決は、一度支払い終わっても、貸金業者との契約を解除しないまま、その後に借入を再開したような事情があるときは時効が成立しないとしたのです。。

 また、この判決が出る前は、取引が継続していても、10年以上前の支払から生じた過払金について、業者は時効を主張されば責任を免れるという、地裁や高裁の判決も目立つようになっていました。最高裁はこれも否定し、取引が継続している限り、10年以上さかのぼって過払金を請求できるとしたのです。

 この男性は、東日本信販との契約で、昭和57年8月10日から平成17年3月2日までの23年間、借入限度額の範囲内で借入と返済を繰り返し、返済はリボ払い方式で行っていました。この男性は23年間ずっと借入を続けてきたわけではなく、借入をしていない期間が4回もあり、それも1226日間、232日間、758日間、156日間と長い期間にわたっていました。1226日間、758日間という長いブランクがあり、かつブランクを生じてから10年以上たっているのに、過払い金の時効を認めず、業者に返還を命じたこの判決は、きわめて画期的なものと言って良いのです。

 ただし、10年以上前に完済した取引分についての過払い金請求が認められるには、完済後もカードを持ち続ける等、貸金業者との契約が続いていて、いざとなれば無審査で借りられる状態にあったことが必要ですし、その後実際再度借入をすることも必要になってくると思います。もっとも完済時にカードを返還していても、それまで取引を長期にわたって続けており、かつ次の借入までの期間が短い場合には、「特段の事由」ありとして、完済後10年以上たっていても、それ以前の取引について過払金返還請求が認められることがあります。

  ところで、最高裁には15人の裁判官がいて、5人ずつ三つの部に分けられています。特殊な言い方ですが、この「部」を最高裁では「小法廷」と呼んでいるのです。今回の判決は三つある小法廷のうちの一つ、第一小法廷の出した判決です。

 これと同種事件について、第三小法廷の判決が3月3日、第二小法廷の判決が3月6日にでます。何れもプロミス案件です。