文化放送『くにまる食堂』に中原俊明弁護士が出演/709回テーマ 「B型肝炎給付金制度」編
2022年12月01日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
弁護士の中原です。
今回はB型肝炎給付金制度についてお話してきました。最近、このB型肝炎給付金という言葉を聞かない日はないのではないかというくらいよく耳にしていると思います。この手続きの対象となる方は、およそ40から45万人ほどと言われていますが、今年1月の時点で訴えを起こした方は約9万7000人、実際に要件を満たし、和解した方は約7万7000人。まだ30万人以上の方が請求していない計算になります。
B型肝炎給付金制度は、満7歳までに受けた集団予防接種等で、注射器などの連続使用により、B型肝炎ウイルスに持続感染した方に対し、国が給付金を支給する制度です。金額は、症状や感染している期間に応じて、50万円から最高3600万円、対象となるのは、昭和16年7月2日~昭和63年1月27日までに生まれた方となっています。請求には期限がありますが、まだ手続されていない方が多いこともあり、期限は一度延長されて5年後、2027年3月31日までとなりました。
期限はまだまだ先だからのんびり構えていてもよさそうですが、給付金の受け取りには、国が定めた要件を満たす必要があるのですが、そこで重要なのが医療記録などの証拠書類が残っているかどうかです。病院の医療記録保管義務は法律的には5年間と短いため、すでに廃棄されていることも多く、証拠が見つからなくて断念された方も少なくありません。そして、時間が経てば経つほど廃棄されてしまう可能性は高くなるので、過去にB型肝炎と言われた経験があれば、早めのご相談をお勧めしています。
医療記録の保管義務が5年間とはなっていますが、実際は、10年程度保管している病院も多いですし、過去には、昭和50年代の医療記録の一部が開示されたこともありますから、諦めずにとにかく確認してみることが重要です。
請求をしない方の理由として、手続が面倒そうだから…という方もいます。特に、感染していても症状がない方を「無症候性キャリア」と言いますが、その場合、給付金として50万円が支払われるのに、手続のために費やす労力を考えると、止めておこう、思われる方が多いようです。
ただ、この場合でも、国と和解が成立すれば、その後、B型肝炎に関する検査費用を国が負担し、通院などにかかる手当が年間3万まで支給されます。50万円はけっこうな金額ですし、その後ずっと検査費用や、年間3万の手当てが受け取れることから、トータルでみると、大きな補償となると思います。さらに、和解後、症状が悪化した場合、申請を行えば、追加で給付金が支給される制度も用意されています。
無症候性キャリアで50万を受け取った方でも、慢性肝炎になれば、1250万が支給されます。しかし、期限内に手続して和解しておかないと、症状が悪化しても補償は受け取れないので注意が必要です。
それから、既にB型肝炎で亡くなられている方の場合でも、亡くなられて20年以内で国と和解が成立すれば、相続人に3600万円が支払われます。もちろん、現在B型肝炎ウイルスが原因で慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんなど発症されている方も、給付対象となる可能性があります。まずはお早目にご相談いただければと思います。
◇日時
毎週火曜 11:31~
◇放送局
文化放送
◇番組名
『くにまる食堂』
◇コーナー名
「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇709回テーマ
「B型肝炎給付金制度」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん
法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士