文化放送『くにまる食堂』に宮本尚紀弁護士が出演/699回テーマ 「電動キックボード」編
2022年09月20日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
弁護士の宮本です。
今回は、最近、都内でも見かけることが多くなった「電動キックボード」をテーマに話しをしてきました。
電動キックボードは、法律的には、「原動機付自転車」、いわゆる50cc以下のバイクと同じ扱いになっていますが、2024年に施行予定の新しい道路交通法では「特定小型原動機付自転車」に分類され、規制緩和される予定になっています。
具体的には、スピードが時速20キロ以下が条件となりますが、免許不要、ヘルメットは努力義務で任意、走るのも原則として車道ですが、時速6キロ以下なら歩道や路側帯も走れるようになる予定です。ただし、乗れるのは16歳以上となっているため、たとえば中学生が通学に電動キックボードを使うといったことはできません。
そもそも「特定小型原動機付自転車」とは、車体の大きさ、構造が自転車道において他の車両の通行を妨げる恐れがなく、かつ運転に関して高い技能を要しないものとして、内閣府令で定める基準に該当するものを指しています。最高時速20キロ以下であること、長さ190センチ以内かつ幅60センチ以内であることなどが要件となる予定です。
「高い技能を要しない」とは、たとえば、バイクで不可欠な足による操作はまったく不要で、ハンドル部分でアクセルもブレーキもすべて操作できる、簡単なタイプのものを指すと考えられます。ちなみに最高時速20キロは、いわゆる「ママチャリ」のトップスピードと同じレベルで、原付自転車の法定時速、30キロより10キロも遅いということになります。
現在、歩道は「自転車歩道通行可」の標識があれば、自転車が通ってもいいことになっています。電動キックボードが分類される「特定小型原動機付自転車」は新たなカテゴリーとなりますから、おそらく新しい標識が作られるのではないか、と思います。
ただ、いくら最高時速が遅くても、動力のついた機械ですから、事故のないように、周りに注意しながら走る必要があり、危険な違反を繰り返し犯してしまうと、3カ月以内に講習を受けるよう命令される可能性があります。それを無視して講習を受けなかった場合は、罰金に処されます。また交通反則通告制度の対象にもなっていますから、自動車と同様、いわゆる「青キップ」を切られることも十分あり得ます。
電動キックボードは、便利な乗り物なのは確かですから、あまり規制を受けずに気軽に乗れるのはいいことだと思いますが、あくまでも安全第一ということが条件となります。そして、法改正後の状況を確認し、必要があれば、また制度を変えていくことになるのだろうと思います。
歩行者や自動車のドライバーなど、電動キックボードを運転する人以外の方も、制度改正を把握して、どんな危険が潜んでいそうか、考えておく必要があります。自動車事故も含めてですが、万が一、人身事故が起きてしまった場合、適切・迅速な初期対応が円満・迅速な解決のカギとなります。
ホームワンでは、交通事故被害者のご相談を承っておりますので、お困りの方は、ぜひご相談いただければと思います。
◇日時
毎週火曜 11:31~
◇放送局
文化放送
◇番組名
『くにまる食堂』
◇コーナー名
「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇699回テーマ
「電動キックボード」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん
法律事務所ホームワン 宮本尚紀弁護士