文化放送『くにまる食堂』に笹森麻美弁護士が出演/688回テーマ 「成年年齢引き下げと少年法改正」編

2022年07月05日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の笹森です。

今回は、この4月からスタートした「18歳成人」についてお話をしてきました。ニュースでも大きく報道されていましたが、法律そのものは4年前、平成30年6月に成立しており、今年4月1日から、実際に効果を持つことになったわけです。そのため、4月1日の時点で、18歳、19歳だった人たちが、一気にまとめて成人になったということになります。

今年、成人になったり、近いうちに成人となる未成年の子どもがいるご両親としては、いろいろ心配になると思います。いきなり成人となった当事者の方だけでなく、そのご両親にも気を付けて欲しいことをお話しします。

まず、成年になると、民法において、2つの大きな変化があります。一つ目は「行為能力」を取得できます。「行為能力」とは、単独で契約などの法律行為を行える能力のことです。もう一つは「親権に服さなくなる」ということがあります。手っ取り早くいえば、この4月以降、18歳になっていれば、親権者である親の同意なしに、自分の意志で、契約などの法律行為ができるようになった、ということです。逆に、未成年者には「未成年者取消権」という特典があって、親の同意を得ずに契約を結んでしまっても、簡単に取り消して、なかったことにできましたが、成年してしまうと、使うことができなくなります。

若者が巻き込まれやすい主な消費者トラブルには、脱毛やエステ、健康食品の購入と言った美容や医療サービス関連の契約や、タレントやモデル、内職や副業、オンラインカジノ、あるいは投資商品などの儲け話関連などがあります。  脱毛エステの無料体験に行ったら、高額契約を結ばされたとか、儲かるからと誘われて、消費者金融で借金して投資したが、まったく儲からず、借金も返済できなくなった…などがあります。

また、民法の成年年齢引き下げに合わせて少年法も改正されていて、同じく4月1日に施行されましたが、18歳、19歳の場合は、「特定少年」として、17歳以下とは異なる取り扱いになりました。

そもそも少年法は未成年者の立ち直りを重視し、大人とは異なる手続きが定められています。未成年者が事件を起こした場合は、家庭裁判所に送られ、非公開の審判という手続きで、裁判官がいろいろ事情を聴いた上で処分を判断することになっていましたが、18歳、19歳の特定少年は、一定の重大事件を起こした場合、家庭裁判所から検察に送り返す「逆送」という手続きをとって、  原則としてオトナと同じ裁判を受けることになりますが、少年法の改正によって、事件の範囲が拡大されました。今までは、殺人など故意に人を死亡させた罪が対象でしたが、「特定少年」は、新たに強盗、強制性交、放火なども対象となり起訴されると実名報道も可能になりました。18歳、19歳の若者たちに自立を促し、法律の上でも大人扱いしていこうという法改正の流れがあるのです。

ホームワンでは、様々な法律問題についてのご相談をお伺いしております。一人で悩まずに、まずはご相談ください。

◇日時
 毎週火曜 11:31~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまる食堂』
◇コーナー名
 「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇688回テーマ
「成年年齢引き下げと少年法改正」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 法律事務所ホームワン 笹森麻美弁護士