文化放送『くにまる食堂』に山田冬樹代表弁護士が出演/679回テーマ 「特別受益-居住の利益と妻への居住用資産の生前贈与」編

2022年04月26日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の山田です。今週の『くにまる食堂・日替わりランチ ホームワン法律相談室』では、相続問題のなかから、「特別受益」に関する話をしてきました。

例えば、三人兄弟のうち一人だけが親と同居していて家賃負担なし、ほかの二人は独立して毎月けっこうな家賃を払っていた場合でも親が亡くなったら、その遺産は等分に分けられるでしょうか?

実家で親との同居が、相続でいう「特別受益」… わかりやすく言えば「えこひいき」に当たるのではないか、と、ほかの兄弟から文句が出るケースは結構あります。特に、実家が高級住宅街にあったりすればなおさらです。

特別受益は、生前の贈与されて親の手元を離れた財産でも、遺産分割のときは改めて遺産に「持ち戻す」ようにした制度です。よくあるのは、長男が家を買うときに1千万円の資金援助をした、といったケースで、こういった場合は「特別受益」とされることが多いです。でも亡くなった親に「持ち戻し」をしなくていい、という免除の意思表示があったら、それを尊重して持ち戻ししなくて良いと法律で定められています。上述した実家への同居の場合も、これに当たる、と考えていいと思いますので、基本的には特別受益とはみなされません。

例えば、旦那さんが亡くなって、財産は妻に遺す、と遺言があった場合、それも持ち戻すかというと、3年前の法改正で、結婚して20年以上になる夫婦の夫が、妻に自宅不動産を遺贈したり、生前贈与していた場合、持ち戻しを免除する意思表示があったと推定する… という規定が新しくできました。

結婚期間が20年以上だと、家事や育児への感謝の現れとしての贈与と思われますし、自分が亡き後の、妻の生活保障という面もあります。そういう夫婦間での自宅不動産の贈与があった場合、遺産の「前渡し」じゃなく「上積み」と考えられるということで、この場合「持ち戻しの免除の意思表示があったと推定する」という規定が置かれたということです。

では、結婚期間が19年と360日だった場合などはどうなるかというと、法律は、結婚期間が20年以上あった場合は、持ち戻しが「免除される」と規定しているわけではなく、「免除されたと推定される」と書いてあります。シビアな線引きではなく、解釈の余地を残し、20年も結婚してたら、それは当然感謝の意味で、余計に遺産を上積みする気持ちだったのだろう、ということで「推定する」という条文になっているのです。もうじき結婚20年という方、ご安心いただければと思います。

ホームワンでは、特別受益はもちろん、遺産分割協議や遺言書のことなど、相続全般についてのご相談を受け付けしております。お困りのことがあれば、是非、ご相談いただければと思います。

◇日時
 毎週火曜 11:31~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまる食堂』
◇コーナー名
 「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇679回テーマ
「特別受益-居住の利益と妻への居住用資産の生前贈与」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹弁護士