文化放送『くにまる食堂』に中原俊明代表弁護士が出演/677回テーマ 「独身者の相続について」編

2022年04月12日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今回の『くにまる食堂・日替わりランチ ホームワン法律相談室』では、相続のなかでも、亡くなったかたが独身だった場合、その財産はどうなるのか、というテーマでお話してきましました。

前回の国勢調査で、男性の生涯未婚率は25.7%、女性も14.9%という数字が出ており、自分が亡くなったあと、その財産がどうなるか気になる方も多いと思います。まず、独身の方の場合、両親が相続人となります。万が一、両親が亡くなっていて、祖父母が存命であれば、その方が相続人となります。また、両親、祖父母も共にいない場合は、兄弟姉妹が相続人となり、兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子供、甥っ子姪っ子が「代襲相続」といって、相続の権利を受け継ぐことになります。しかし、相続人となる血縁関係はここまで、甥・姪までとなっており、いとこにはいきません。よって、いとこに財産を遺したいなら遺言書を作る必要があります。

ただ、遺言書がないと、全くもらえないかですが、民法には「特別縁故者」という制度がありますので、それに当てはまるかどうかによります。特別縁故者とは、亡くなられた方と生計を同じくしていらした方、あるいは亡くなられた方の療養看護に努めた方、そのほか特別な関係があった方とされており、特別縁故者から請求があれば、家庭裁判所の判断に基づき、亡くなられた方の財産の全部または一部を受け取ることを、認められる可能性はあります。

流れとしては、相続人がいない場合、相続財産管理人が選任されて、相続財産の内容を確定させたり、債権者がいれば財産の中から返済をして、こういった管理処分が全部終わった後、財産が残っていれば、特別縁故者の取得が認められる可能性が出てきます。最終的に財産が残っていれば国庫に入ることになります。自分の財産を自分の選んだ人に遺したい、と思う方のほうが多いかと思いますので、遺言書の作成をお勧めしています。特に独身者の方は真剣に考えられた方がいいと思います。日ごろ疎遠でも、兄弟姉妹・甥姪がいる場合、色々とお世話をしてくれているいとこがいたとしても、遺言書がなければ、特別縁故者でも財産は受け取れません。

つい最近扱った件では、長い間、兄・妹だと思っていたので、妹は兄の世話をしてきて、その兄が亡くなった。相続の手続のため戸籍を取ったら、実は自分は兄の妹ではなく、イトコだったことが分かり、他に相続人がいなければ特別縁故者に該当しましたが、調べてみると姪にあたる人がいたので、見たことも聞いたこともないその姪が、1000万円以上の財産を全て相続しました。ちなみに、この件の場合、平成30年の改正で新設された「特別の寄与」の制度が使えたかも知れませんが、この方は使いませんでした。

ホームワンでは、状況に応じてアドバイスをしておりますので、財産のすべてを誰かに遺したい、と考えている方は、是非、ご相談ください。

◇日時
 毎週火曜 11:31~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまる食堂』
◇コーナー名
 「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇677回テーマ
「独身者の相続について」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士