文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/675回テーマ 「交通事故の遅延損害金」編
2022年03月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
弁護士の中原です。
今週の『くにまるジャパン極』では、交通事故の「遅延損害金」というテーマでお話をしてきました。まず、遅延損害金とは、わかりやすくいえば「延滞料」のことで、支払が遅れた場合に支払わなくてはならない損害賠償金のことをいいます。
交通事故は一種の「不法行為」なので、不法行為に基づく損害賠償債務は、損害の発生と同時にスタートします。よって、事故発生の遅延損害金は、事故当日から、最終的に損害賠償金が支払われるまでの日数に応じて計算されることになります。後遺症が発生した場合も、症状が固定した後で、認定を受けた後遺障害等級に基づき損害額を計算しますが、 その場合も、事故発生日まで遡って遅延損害金を計算します。
交通事故の遅延損害金は、法律で定められた利率、法定利率で計算されます。以前は民法で年5%となっていましたが、令和2年4月以降に発生した事故の場合は引き下げられ年3%、また市中金利の動向に合わせ3年ごとに変動する仕組みも導入されています。
交通事故の賠償を解決するには、示談、裁判外紛争解決手続の利用、そして裁判を起こすといった方法がありますが、実際には、ほとんどは示談で解決します。そして、その場合は遅延損害金を支払わない形で話し合いが纏まることがほとんどです。遅延損害金まで受け取るには、裁判を起こし、途中で和解することなく、判決で決着する必要があります。ただ、判決までいかなくても、裁判で和解して解決した場合でも、調整金という費目で、遅延損害金の一部に当たる金額が支払われる場合もあります。
また、裁判と示談の中間的な方法で、裁判外紛争解決手続を利用するという方法もあります。交通事故の場合、交通事故紛争処理センターを利用するのが一般的ですが、メリットとしては、裁判と比べて、時間や費用コストを抑えられる一方、裁判を起こした場合に準じた損害賠償額の計算方法による支払が受けられます。デメリットとしては、示談と同様、遅延損害金の支払が命じられることはありませんし、また裁判で和解した場合の、調整金の支払もありません。
裁判を起こして遅延損害金を取りに行くのがいいのか、あるいは交通事故紛争処理センターを使うか、普通に示談でいくのかは、被害を受けた方の状況によって判断の仕方が違ってきますので、どんな解決法がベストなのか、是非、ホームワンにご相談いただければと思います。
◇日時
毎週火曜 9:45~
◇放送局
文化放送
◇番組名
『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇675回テーマ
「交通事故の遅延損害金」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん
番組火曜日パートナー 西川文野さん
法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士