文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/671回テーマ 「嫡出推定の見直し」編

2022年03月01日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

本日は、最近、マスコミでも大きく取り上げられている「嫡出推定の見直し」をテーマにお話ししてきました。

まず、「嫡出推定」というのは、血縁とは関係なく、法律的に赤ちゃんの父親が誰なのかを決めるためのルールです。具体的には、妻が夫との婚姻中に妊娠した子については、「夫の子」と推定されます。そして、結婚してから200日以上、あるいは婚姻の解消、つまり離婚などしてから300日以内に生まれた子については、婚姻中に妊娠したものと推定されます。しかし、このルールだと不都合が生じることもあるため、今回、見直しされることになりました。

不都合が生じるケースとして多いのは「できちゃった婚」「授かり婚」の場合で、「結婚して200日以上」の条件を満たさないことが多くあります。そこで、結婚前に妊娠していることを条件に、200日以内でも、夫の子であると推定する方向で調整しています。調査統計でも、上記の場合、夫の子の可能性が高いことが証明されています。現在でも、判例及び戸籍実務上、夫婦の子として出生届を出せば、200日以内でもOKにはなっていますが、嫡出推定規定で夫の子と推定されない状態だと、時間が経ってから父子関係を争われる可能性が残り、子どもの法的な地位が不安定になるので、それを防ぐことも可能となります。  実態に即して法律も変えていこう、ということです。

また、嫡出推定規定の見直そうとした理由のひとつに「無戸籍」の問題があります。例えば、夫のDVから逃げているときに、別の男性との子を身ごもった女性がいた場合、今、出生届を出してしまうと、300日ルールがあるため生まれた子は法的には夫の子となってしまいます。それを避けるため、出生届を出さないケースが実際にあるのです。

300日ルールは撤廃されるわけではないですし、上記にもあるとおり、結婚後200日以内に生まれたら、新しい夫の子と推定されるようになることから、このままだと離婚後300日以内、かつ再婚後200日以内に生まれた子は前の夫も新しい夫も、父親として推定されてしまいます。そのため、そのような場合は「子が生まれる直近の婚姻における夫の子と推定する」という決まりが追加されることになりました。この変更で「無戸籍問題」が解消されれば良いんですが、ただ、あくまで女性が再婚した場合に限られてしまうので、  再婚せずに出産してしまうと、やはり300日ルールが適用されてしまいますので、注意が必要です。

今回の見直しにはもう1つポイントがあって、現在は再婚後すぐ生まれた子の父親が前の夫か、次の夫かを推定できないという理由で、女性だけが離婚後100日以内は再婚できないというルールがあります。

ただ、今後は、再婚後に生まれた子は次の夫の子と推定されることになるので、この100日ルールは廃止されることになります。以前「18歳成人」のテーマでお話ししたように、女性の婚姻開始年齢が16歳から、男性と同じ18歳に変更となるのと同じく、男女平等が実現されるわけです。

嫡出推定に限らず、離婚問題や不倫に対する慰謝料請求など、お悩みのことがありましたら、早めにホームワンにご相談いただければと思います。

◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇671回テーマ
「嫡出推定の見直し」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士