文化放送『くにまるジャパン 極』に久保真衣子弁護士が出演/670回テーマ 「中小企業に4月から適用されるパワハラ防止法とは」編
2022年02月22日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
弁護士の久保です。
今週の『くにまるジャパン極』では、「パワハラ防止法」について、お話しました。大企業では2年前の6月から施行されていますが、猶予されていた中小企業でも今年4月から適用されることになります。
努力義務とはなりますが、職場の嫌がらせやいじめを防止するためのパワハラ対策を具体的には3つ、実施していく必要があります。第一に、事業主の方針を明確にして、周知・啓発すること。具体的には、就業規則などに、ハラスメントにあたる行為の内容・原因・背景等を記載するのが第一歩です。社内で定期的にアンケートを実施したり、管理職が面接を行うなどして、職場の実態を調査することも必要ですし、社員に対しての研修や講習を実施することも求められます。第二に、ハラスメントが起きた場合に相談に応じるための体制を整備することが必要です。そして第三に、パワハラが起きてしまった後、迅速かつ適切な対応を取ることが大事です。
従業員が少ない中小企業では、相談窓口が社長…というケースもあるかもしれませんが、それだと気軽に相談するのも難しいかと思いますので、そのような場合は、法律事務所や社労士事務所といった外部の機関を相談窓口にするといった工夫が必要になってきます。労働基準監督署から、「コロナ禍で、ハラスメントの相談がとても増えている」という話しも聞きました。努力義務とはいえ、しっかりとした対策を取らないと、スムーズに業務を進めることもできないと思います。
もう一つ、「パワハラ」と「指導」の違いにも注意しなければなりません。「発言の目的」や「業務上必要かどうか」がポイントですが、従業員側が防止法をタテに、指導なのにパワハラだと言ってくる、そんなケースも増えているんです。会社側もブレないように、パワハラと指導の線引きを把握しておく必要がありますので、経営サイドも勉強が欠かせません。また、弁護士など専門家による研修も有効です。裁判となった場合、具体的な言動がパワハラに当たるかどうかが争点となります。判例を把握している専門家に研修を依頼すれば、どんな言葉や 行動がNGなのかが具体的にわかりますし、パワハラではなく適切な指導であることを示す証拠の作り方なども学べます。
コロナで業績が悪化している企業には負担かと思いますが、適切なハラスメント対策は、確実に職場環境を改善しますし、人材の流出防止にもつながります。パワハラ防止対策が まだ整っていない企業は、ぜひホームワンにご相談いただければと思います。
◇日時
毎週火曜 9:45~
◇放送局
文化放送
◇番組名
『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇670回テーマ
「中小企業に4月から適用されるパワハラ防止法とは」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん
番組火曜日パートナー 西川文野さん
法律事務所ホームワン 久保真衣子弁護士