文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/669回テーマ 「遺言執行者とは」編
2022年02月15日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
弁護士の中原です。
今週の『くにまるジャパン極』では、先週に続いて相続関連である「遺言執行者」のお話をしました。まず「遺言執行者」とは、遺言書の内容を実現するために行動するのが役割で、遺言書の中で遺言執行者を指定できます。遺言執行者は、民法で未成年者と破産者は遺言執行者になれないと決められていますが、それ以外は特に制限はないため、専門家である必要もありません。そのため、相続人のなかから1人を、遺言執行者として指定している場合も良くあります。
遺言執行者は、まず、誰が相続人かを調査したうえで、全ての相続人に対し、遺言書の内容を通知しなければなりません。また、遺言書に財産の具体的な内容が書かれていない場合や、財産目録が付いていても、遺言書を作成した後に財産が増えている場合など、いろいろな事態が考えられますので、遺言執行者が、預金や株式、不動産など、財産を調査して相続財産を特定したうえで、財産目録を作り、相続人に交付しなければなりません。
遺言執行者を置くメリットとして、遺言執行者がいれば、亡くなられた方の預金解約手続や、不動産の名義変更手続を行なうことができます。逆に、遺言執行者がいないと、預金解約手続も、相続人全員が書類に署名押印し、印鑑証明書添付の必要があり、相続人が数人ならともかく、10人近くいるといった場合には、全員に署名と押印をもらうのは、相当な手間がかかります。
万が一、遺言書に遺言執行者が指定されていなかった場合には、家庭裁判所に請求すれば、選んでもらうことも可能です。
遺言執行者に指定された人は、相続が開始した時点で、実際に就任するかどうかを、自由に決めることができます。自分には無理だと思ったら断ることも可能です。ただ、1回は引き受けたものの、途中でやっぱり自分には無理だからやめたいという場合は、家庭裁判所の許可が必要で、認められるのは、辞任する正当な事由がある場合に限られます。
ただ、4年前に民法が改正され、遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行なわせることができるようになりました。改正前は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行なわせることはできない、とされていたのですが、この改正で遺言書で委任を禁止していない限り、他の誰かに頼んでもよいということになったのです。亡くなった人の意思を尊重して、無理を承知で引き受けたれけど、やっぱり無理だった…といった場合は、弁護士など法律の専門家に依頼することも可能となりました。もし遺言執行者に指名されていてお困りの場合は、ぜひホームワンにご相談いただければと思います。
◇日時
毎週火曜 9:45~
◇放送局
文化放送
◇番組名
『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇669回テーマ
「遺言執行者とは」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん
番組火曜日パートナー 西川文野さん
法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士