文化放送『くにまるジャパン 極』に宮本尚紀弁護士が出演/667回テーマ 「発信者情報開示」編
2022年02月01日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
弁護士の宮本です。
今週の『くにまるジャパン極』では、「インターネット上で誹謗中傷された場合、どう対応すればいいか」というテーマでお話しました。「誰がひどい書き込みをしたのか」を探るのは困難なのですが、プロバイダーに対し、『発信者情報開示請求』を行えば、明らかにすることも不可能ではありません。今回は、匿名で利用可能な掲示板サイトなどに、問題ある書き込みをされた場合で説明しますが、大まかにいって、2段階の手続きが必要になります。
まず、サイトの管理者に対して、IPアドレス等の開示請求をすること、接続プロバイダに対して、住所氏名の開示請求をすることの2つです。ちなみにIPアドレスとは,インターネットでサーバー等の通信機器に割り当てられる番号のことで、接続プロバイダとは、インターネット接続サービスを提供している事業者のことです。
掲示板などのサイトの管理者は、利用者に住所・氏名の提示を求めない場合もあり、判るのは書き込んだ人のIPアドレスだけです。そこで、まずIPアドレスを教えてもらった上で、そのアドレスを提供している接続プロバイダに対し、このIPアドレスを使用している人の実際の住所・氏名を教えてもらう、という手続きが必要となるからです。
ひどい書き込みをされたら、まずそれが載っているサイトの運営主体の情報を探します。メールアドレス等がわかったら、情報を開示するようメールで依頼できます。それで反応がなければ、発信者情報開示請求書を送ります。業界団体であるテレコムサービス協会が用意している書式に、必要事項を書いてメールか郵送で送ります。
請求書を受け取った運営主体は、違法性の有無を検討して、これは明らかにマズいと判断したら開示手続きに応じてくれますが、拒否されることもあります。その場合は、裁判所に「IPアドレス開示仮処分」を求めることになります。その結果、裁判所が「権利侵害が認められる」と判断すれば、「開示を認める」決定を出します。ここまでで、やっと第一段階終了となり、その情報をもって、次の段階である接続プロバイダに発信者の住所氏名の開示を求めていきます。
プロバイダは、開示請求を受けた場合、発信者に情報を教えていいかどうか確認し、同意が得られなければ「顧客情報なので」拒否するのが普通です。そうなると次の手としては、訴訟手続きとなります。判決が出るまで数か月かかりますが、それでようやく発信者の住所氏名を知ることができ、その後、その当人との交渉、訴訟へと進んでいくわけです。
とにかく書き込みが削除されれば良い、というのであれば、発信者情報を求める必要はありませんが、何が何でも書き込みをした相手が誰だか知りたい、きちんと補償させたい、という場合は、いろいろ複雑な手続きも必要になってきます。インターネット上の風評被害でお困りの事業者は、ホームワンにご相談いただければと思います。
◇日時
毎週火曜 9:45~
◇放送局
文化放送
◇番組名
『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇667回テーマ
「発信者情報開示」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん
番組火曜日パートナー 西川文野さん
法律事務所ホームワン 宮本尚紀弁護士