文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/662回テーマ 「成年年齢引き下げあれこれ」編

2021年12月28日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今年最後の『くにまるジャパン極』では、以前も取り上げたことがある「18歳成年」をテーマに,そのときは,お伝えできなかったことについてお話してきました。まず,来年の4月から「結婚できる年齢」が変わることになりました。

現在は男性が18歳で女性が16歳です。理由は男女で心身の発達に差があるから。簡単に言うと、女性の方が成長が早いから、と説明されていました。ただ、結婚できる年齢、法律的にいいますと「婚姻開始年齢」については、社会的、経済的な成熟度を重視すべきで、そうした点では男女間にこれといった違いはない、という考え方で、18歳で統一されることになりました。ただ例外もあって、来年の4月1日時点で既に16歳になっている女性は、18歳未満でも結婚できることになっています。

来年、2022年4月1日時点で,18歳以上20歳未満の方も成人となるため,一気に成人の人口が増えることになります。次に,これまで20歳以上しか選ばれなかった裁判員に、18歳、19歳でも選ばれる可能性が出てきます。

裁判員の資格は「衆議院議員の選挙権を有する者」となっており、選挙権はすでに引き下げられているため,18、19歳でも選ばれそうなものですが、現在は他の法律の関係で20歳未満は選ばれません。  ただ少年法の改正などで、裁判員も原則通り18歳以上となり、再来年にはティーンエイジャーの裁判員が誕生する見込みです。

少年法といえば、刑事事件でも成年と未成年では、取り扱いに大きな違いがあるのはご存知かと思いますが、未成年者は刑罰を科すより教育的な働きかけをして、改善・更生を目指す、という考えなので、犯罪を犯しても、成人とは手続きが違います。民法の成年が18歳となるに伴い、少年法についても議論された結果,成人年齢の20歳は維持されることになりましたが,18歳、19歳については、17歳以下と区別して、重大犯罪については、成人に近い扱いをする,という内容に改正されることになりました。

法律により、成年、未成年の線引きはいろいろで、それぞれの法律が、何のために制定されたのか、目的もそれぞれ違います。そこで、成年の年齢も、法律によって変わるケースが出てくるわけです。混乱を招くところではありますが、法律は、若い人たちの前途を、力強く支援する存在であってほしいと思います。

◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇662回テーマ
「成年年齢引き下げあれこれ」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士