文化放送『くにまるジャパン 極』に宮本尚紀弁護士が出演/661回テーマ 「児童相談所の一時保護」編

2021年12月21日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の宮本です。

今週の『くにまるジャパン極』では、児童相談所による「一時保護」をテーマにお話してきました。「一時保護」とは、虐待されている可能性がある子どもたちの生命や身体の安全を確保する目的で、一時的に親権者から分離する形で保護するシステムです。これは児童福祉法に基づいた児童相談所の大切な役割の一つです。

中には,一時保護されることで,子どもを取り上げられると思う親もいるようですが、何かが起きてからでは遅いので、思い切った手段が必要になります。児童相談所は全国に約220か所ありますが、昨年度、対応した虐待の件数は20万を超え、過去最多を更新しました。

増加の原因は、警察などからの通告や、心理的虐待に関係する相談が増えたことにあると言われています。心理的虐待というのは、言葉による脅しや、徹底的な無視、きょうだいを差別的に扱ったり、また子どもの目の前で、ほかの家族に暴力を振るったりというケースなどをいいます。やはり「一時保護」という思い切った手段を使ってでも、防ぐべき虐待が多いのです。

保護できる期間は、原則として2か月以内で、その間に、児童養護施設に入所するのか、  あるいは家庭に戻るかなどの処遇を決めることになっています。一時保護で子どもの安全を確保しておけば、保護者の調査、指導をじっくり行えますし、保護者も子どもから離れることで、落ち着くケースも少なくないと言われています。

本当に虐待があったのかは裁判所が事実を認定すべきもので、児童相談所が判断できるのかという疑問もあるでしょう。虐待していないのに、子どもと引き離されたら親はたまりません。傍から見たら虐待されたみたいに泣く子どもがいたとしても、普段からそのような泣き方をしている子どもかもしれません。一時保護するかどうかは難しい判断を迫られるところですが、万一虐待があったら、取り返しがつかないことになる可能性があるため,スピーディな判断が求められるのです。

一方で,慎重な判断も必要になることから,現在,児童福祉法の改正が検討されていて,一時保護の開始をめぐり、児童相談所の判断が適切かどうかを、裁判所が審査する新しい制度の導入が見込まれています。現時点での情報ですが、児童相談所が審査を請求できる期間を保護開始日から起算して7日以内とする,ということなので,早期判断という、点についても考慮されているようです。実現すれば、保護者の納得が得られやすくなり、児童相談所の不要な介入を防ぐことにもつながるので、注目しています。

ホームワンでは、一時保護にまつわる相談も受け付けています。疑問をお持ちの方は、ぜひご相談いただければと思います。

◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇661回テーマ
「児童相談所の一時保護」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 宮本尚紀弁護士