文化放送『くにまるジャパン 極』に笹森麻美弁護士が出演/656回テーマ 「インターネットでの誹謗中傷」編

2021年11月09日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の笹森です。

今週の『くにまるジャパン極』では、インターネット上の誹謗中傷対策のお話をしました。何かと問題になっているネット上の誹謗中傷ですが、今回、刑法の侮辱罪に懲役刑を追加するという新たな対策が法制審議会から法務大臣に答申されました。

現在は、侮辱罪は『30日未満の拘留か1万円未満の科料』です。でも、女子プロレスラーの木村花さんの不幸な事件からも分かるように、ネット上の悪意ある誹謗中傷行為は、人の命を奪いかねません。そこで、侮辱罪を重くすることで、増える一方の誹謗中傷を抑え込んでいこう、という狙いがあります。

ネットの場合、匿名性が高く,書き込みした人を特定しにいくということから,誹謗中傷の書き込みが減らない,という問題があります。確かに,誰がその書き込みをしたのかを突き止めるのはかなり高いハードルです。しかし、方法がないわけではなく,「発信者情報開示請求」の手続きを取ることができます。これは「プロバイダ責任制限法」という法律の4条に基づき、ネット上で他人を誹謗中傷した発信者の情報について、プロバイダに対して情報の開示を求める制度です。

この制度を使えば、発信者の住所、氏名、登録電話番号など、情報を特定できます。基本的には裁判手続きの必要もなく、プロバイダに任意の開示を申し込めます。しかしながら,簡単には応じてくれないため,一般的には,裁判上の請求手続きを利用することになります。ただ,現在の法律では、発信者特定するまでには,2回の裁判手続きが必要となります。その結果,やっと特定できたとしても損害賠償請求にはまた裁判となります。またプロバイダが海外の業者だったりすると、手続きが大変で、手間取っているうちに、発信者の特定ができなくなってしまうこともあります。

そこで、今年4月に成立した新しいプロバイダ責任制限法では、発信者情報の開示請求が1つの手続きで可能になり,来年中の施行を予定しています。「非訟手続き」といって、新たな裁判手続きが創設され,通常の裁判よりも簡単な形式で行えることとなります。さらに、もう一つのポイントとして、開示請求の範囲が広がり、今までより格段に、発信者を特定しやすくなりました。

最近では、インターネット上でのトラブルが本当に増えていて、誰にとっても身近な問題だといえると思います。法律事務所ホームワンでも、この分野に力を入れていく方針ですので、ネット上の誹謗中傷でお困りの方は、ホームワンにご相談ください。

◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇656回テーマ
「インターネットでの誹謗中傷」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 笹森麻美弁護士