文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/651回テーマ 「寄与分ってなに?」編

2021年10月05日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今週の『くにまるジャパン極』では、相続に関連する「寄与分(きよぶん)」のお話をしました。
例えば、父が亡くなり,その相続人が男2人兄弟だけの場合、遺言書がなければ、法定相続分に基づいて、兄と弟が遺産を半分ずつ相続することになります。しかし,兄は,長年に渡り,父と同居し,介護を行なっていたのに対し,弟は何もしていなかった場合,遺産は厳密に「半分ずつ」にすると,兄からすれば釈然としないと思います。法律もその点について配慮していて、

民法では、亡くなられた方の仕事を手伝っていたり、あるいは金銭的な援助をしていた、介護に当たっていたなど、亡くなられた方の財産を維持する、あるいは増やすために、特別に寄与、つまり力を尽くしていた相続人がいれば「寄与分」として,法廷相続分に上乗せが認められるとされています。

しかし,父が施設や病院にいて、月に数回通って、身の周りのものを揃えていた、という程度では、寄与分と認められるのは難しいです。また、介護していた場合でも、父の財産を「維持または増加した」と証明する必要があります。そのため、寄与分は、まず相続人らが相談して決めるとされていますが、当事者の間でどう評価するのかはかなり難しいため、この段階ではまとまらないことが多いです。

その場合、次の段階として,家庭裁判所が判断します。たとえば先ほどのケースで、父の遺産が5000万なら、通常は法廷相続分に従って、兄と弟で2500万ずつが取り分となりますが,裁判所が兄に対し,1000万の寄与分がある、と認めた場合,それぞれの取り分は,兄が3500万、弟が1500万となるわけではなく,考え方としては、まず寄与分の1000万を5000万から控除した後、残りの4000万を半分ずつに分けて、まず2人とも2000万ずつの遺産を相続します。さらに、兄には1000万の寄与分がプラスされ3000万。弟はそのまま2000万を相続する、ということになります。

父と兄家族が同居していた場合,兄の妻が、献身的に介護していたということも多いと思いますが、この場合、基本は妻には遺産は支払われないのですが、一昨年の民法改正で、亡くなられた方に対し無償で療養看護その他の労務を提供したことによって、その方の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合には、財産を相続された方に対し、寄与に応じた額の金銭を請求できる「特別の寄与の制度」が新たに設けられました。ただ請求できる資格は「相続人の親族」で、条件は「労務の提供」だけ、さらに請求できる期間の制限など様々なハードルがあります。

もし寄与分について分からないことがありましたら、お気軽にホームワンにご相談戴ければと思います。

◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇651回テーマ
「寄与分ってなに?」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士