文化放送『くにまるジャパン 極』に宮本尚紀弁護士が出演/644回テーマ 「インターネット上の名誉棄損」編

2021年08月17日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の宮本です。

今週の『くにまるジャパン極』では、インターネットによる「誹謗中傷」のお話をしました。ここ数年の社会問題となっていますが、スマホの普及と共に、ネットがごく当たり前の社会となり、誰もが手軽に発信できることもあり,被害は増える一方です。

時には人の尊い生命を奪ってしまうことのある誹謗中傷やデマですが、当然のことながら、法的責任を問われます。実際に、デマを発信した人物らが名誉棄損で訴えられるケースもあり、相手が芸能人など広く知られている人物だと数百万円、一般人だと数十万円の慰謝料が認められたことがあります。

誹謗中傷を受けた側にしてみれば、数十万円の慰謝料ではちょっと少なすぎると思われるかもしれませんが、よくある匿名掲示板などでの名誉棄損だと、投稿された発言に対する閲覧者からの信頼度が低いと考えられていることもあり、慰謝料はどうしても低くなる傾向にあります。

ただ,加害者に対し,慰謝料を支払わせるに至るまでの手続きもかなり大変です。ネット上の情報は匿名が普通で、加害者がどこの誰かがわからないのが当たり前の世界です。だからこそ、いい加減な書き込みをする人が多いわけですが、犯人を突き止めるには大まかに3段階の手続きが必要になります。

一つ目は,書き込みが行われたサイトには、加害者のプロバイダ情報、つまりその人物が使っているネット接続業者の情報の痕跡が残っているので、その提供をサイトの管理人に求めます。
二つ目として、痕跡が残っていたプロバイダ、ネット接続業者に対し、書き込みをした人物の個人情報を求めることになります。当然のことながら個人情報で、なかなか開示は難しいので、裁判を起こすことになる場合も多いです。
最後に,相手が特定できたら,連絡を取り、自らが受けた損害に対し慰謝料を請求することになりますが、これに応じなければ、訴訟を起こすことになります。

ここまでにたどり着くまでのハードルはかなり高いのですが、それでも今年4月にはプロバイダ責任制限法が改正されて、発信者情報の開示範囲が拡大されました。また「発信者情報の開示命令の申立」という手続きができて、決められた要件を満たせば、先ほどの二つ目のハードルである、「プロバイダに開示を求める裁判」が不要になりました。法律も改正されて、一応、被害者の手続き負担は軽くなる方向には向かっていますが、   それでも法律に詳しくない人には相当な苦労だと思います。さらなる改正が待たれるところですが、ネット上の名誉棄損トラブルでは、適切な初期対応が円満・迅速な解決のカギとなりますので、被害に遭われたかたは,早めの行動を起こすことをお勧めしたいです。ホームワンでもご相談を受け付けますので、ぜひご利用ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇644回テーマ
「インターネット上の名誉棄損」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 宮本尚紀弁護士