文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/630回テーマ 「相続放棄」編

2021年05月11日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今回の『くにまるジャパン極』では、相続のなかでも「相続放棄」に関するお話をしました。「相続」と聞くと、財産がもらえそうなプラスのイメージを抱く方が多いかと思いますが、もし、亡くなられた家族、例えば、親に莫大な借金があった場合はどうなるでしょうか。どのような場合、亡くなられた方の財産を全て引き継がない「相続放棄」という選択をすれば、借金を背負わずに済みます。

「相続放棄」の手続きは、家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行います。法律用語では、申す、述べる、と書いて「相続放棄の申述」と呼びますが、これが受理されれば、晴れて親の借金とは縁を切ることができます。ただ手続きができるのは、相続の開始があったことを知った時から3か月以内と限定されていて慌ただしいのですが、財産や負債の調査が進まない、などという場合はこの期間の延長も可能です。また、「相続の開始があったことを知った時」というのは、親が亡くなればすぐ知らせを受けるケースがほとんどでしょうが、孫の代や、兄弟姉妹や甥姪などは、疎遠だったり、連絡の取れない場所にいる事もあるかと思います。そのため「知った時から3か月」と決められています。

ただ、その3か月の間に、相続財産の全部または一部を処分したときは、相続放棄が認められなくなるので、注意が必要です。土地や建物、財産的価値がある家財道具を売るといったことは厳禁です。この間、いわゆる「形見分け」ですが、業者に売れば数十万もするような時計とか宝飾品などは、財産の処分に当たると判断され、相続放棄ができなくなる  可能性が出てきますので,注意してください。

よく聞かれるのは、葬儀の費用を亡くなられた方の貯金から出すのは、やってはいけないことなのかということですが、亡くなられた方の口座から引き出して使うことも、相続財産の処分行為です。ただ通常の葬儀費用として妥当な金額であれば、相続放棄が認められることはあります。妥当な金額、というのがポイントで、あまりにも高いと認められないでしょう。

また、亡くなられた方の生命保険金ですが、例えば、父親が亡くなって、保険金の受取人が子供という場合など、相続人が受取人として指定されていれば、生命保険の保険金は  お子さんの固有の財産とされ、相続財産にはならないため、相続放棄をしても受け取ることができます。

相続放棄をした方がいい場合、しない方がいい場合、また相続放棄を考える上で、これはしてもいいのか、ダメなのか、判断に迷ったら、ぜひホームワンにご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇630回テーマ
「相続放棄」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士