文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/628回テーマ 「年次有給休暇」編

2021年04月27日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今回の『くにまるジャパン極』では、「年次有給休暇」についてお話をしました。有給休暇を取る権利は、法律上、2年で時効になってしまうため,権利は翌年までしか繰り越せません。とはいえ、有給を全部消化するのはなかなか難しいようで、厚生労働省の調査では取得率はおよそ50%、取得できなかった残りの半分は、時効で消滅してしまっているようです。法律上認められる有給休暇の上限となる2年分、40日溜まっている方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

働き方改革関連法の改正で、2019年の4月から有給の取得が義務化されました。出産や子育てをしながらでも働くには、これまでのような長時間労働では難しいだろうと考えられて、労働条件に関する法律が見直されたことが背景にあります。義務化は、10日以上の有給休暇が与えられる従業員が対象です。通常は、フルタイムで6か月勤務すれば与えられるため、今年度の新入社員でも10月から対象になります。そして会社は、年間で最低でも5日の有給を取ってもらわないと30万円以下の罰金を払わなければならない決まりがあります。つまり、有給休暇を取らせないのは、罪になります。

多くの会社では、従業員に有給を取りたい日の希望をあらかじめ聞き,有給を指定するのが一般的になっています。また、仕事が終わらないから有給返上で働きます、と言われても従業員の意見を尊重する必要はありますが、会社としては,罰金を取られないようするため,強く休めと説得することもあると思います。

逆に従業員から「有給が上限までたまったから、明日から40日休む」と言った場合、会社は従業員の希望する日に有給を与えなければなりませんが、業務に影響が出てしまう場合には、会社側が変更可能です。かつて、従業員がまとめて一か月の有給を申請したのに対し、会社側がその半分を別の時期に変更することが許されるかどうか、裁判で争われました。実はこの方は、専門的知識や経験が豊富で、ほかの人では代替不能、という特別な理由があり、会社側が有給の時期をある程度ずらすよう求めても違法ではない、という判断が出ました。つまり、逆に言えば、できる限り、会社が代わりの従業員を用意して、いつでも有給を取れる体制を作っておきましょう、ということで、単なる人手不足では有給の時期をずらせないということです。ちなみに、退職間近の方からの有給申請は、他の時期にずらすことが不可能になっています。

休めば心も体もリフレッシュ、結果的に仕事の効率も上がります。皆さんもぜひ積極的に計画的に有給を取っていただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇628回テーマ
「年次有給休暇」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士