文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/620回テーマ 「嫡出推定とは」編

2021年03月02日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今回の『くにまるジャパン極』は、「嫡出推定とは」というお話をしてきました。
嫡出推定というのは生まれた赤ちゃんの父親が誰なのかを法律的に決めるための規定のことをいいます。

親子関係は、相続や養育費にも関係してくるため、とても重要で,嫡出推定には2つの規定があります。
まず女性が結婚してから200日を経過後に出産した場合は、その夫が父親だと推定されますが,「授かり婚」などでは,結婚から200日未満に出産することもあると思います。その場合、女性が結婚してから200日を経過していないので,「嫡出推定」はされませんが,夫婦の子どもとして出生届を出せば、ちゃんと父親と認められます。
そしてもう1つの規定は、女性が離婚後300日以内に出産した場合、離婚前の夫が父親と推定されるというものです。
つまり、男性側にしてみると、離婚後300日以内に元妻が出産した場合、たとえ身に覚えがなくても、その子は自分の子どもだと推定されてしまい,さらに,夫が妻の出産を知ってから1年以内に訴えを起こさないと、たとえ血のつながりがなくても親子関係は確定してしまいます。
ただ,この親子関係を否定する訴えは父親しか起こせないので,男女が平等でない,と以前から指摘されています。

ほかにも男女不平等の問題はいろいろあって、例えば、女性が離婚して、同じ日に別の男性と再婚したとします。それから200日経過後、300日目までの間に出産すると、嫡出推定の規定によって、前の夫も今の夫も、両方とも父親として推定されてしまいます。そのため、その事態を避けるために、男性は即日再婚しても構わないのに対し、女性は離婚したあと、再婚禁止期間が定められています。以前は、再婚禁止期間は6か月だったのですが,法改正して短くなりましたが,それでも100日は待たなければなりません。ただ、離婚した日に妊娠していない,という医師の証明書があれば、100日待たなくてもいいことになっていますが,それでも公平といえるところまでには至っていません。

嫡出推定には,別の問題もあって、元夫に嫡出推定されるのを避けるため、母親が出生届を出さず、結果として子どもの戸籍がないという,深刻なケースも出ています。こうなると子供の人権問題に発展します。両親の事情が、何も悪くない子供に及んでいるため、法律の見直しも進められています。まだ議論の段階ですが、結婚や離婚からの日数に関係なく、結婚している女性が出産したときは、今の夫を父親として推定するという案が考えられています。こうすれば推定される父親は1人に限られ、再婚までの100日ルールも不要になります。また嫡出推定を否定する訴えも、男性側からだけじゃなく、女性側からもできるようにするとか、訴えを起こすのも出産から1年以内というのが短すぎるので、もう少し長くしようとか、様々な改善が提案されています。実際の法改正はまだ少し先になると思いますが、その際には、またご紹介したいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇620回テーマ
「嫡出推定とは」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士