文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/611回テーマ 「養育費の履行確保」編

2020年12月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今年最後の『くにまるジャパン極』では、離婚にまつわる「養育費の履行確保」というテーマでお話しました。養育費は、事前に取り決めをしなくても協議離婚は可能です。実際、4年前の厚生労働省が行なった調査によると、養育費の取り決めをしたのは母子家庭でおよそ43%、父子家庭では21%となっていて、半分以上は養育費の取り決めを決めないまま別れています。現在は、 離婚届に、養育費と面会交流の取り決めをしているかをチェックする欄が設けられこともあり、子どものためにきちんと取り決めをすべきだという理解が広がってきています。

ただ、取り決めしても、実際に支払われるかは別問題で、先ほどの調査でも、養育費の支払いを受けたことがないと回答したのは、母子家庭で56%、父子家庭で86%という驚くべき結果です。

国でも養育費不払い解消の方策を検討していて、今年9月には当面の改善方策も示されました。今後も制度の見直しを含め、検討していくことになってはいます。現状では、調停や裁判で養育費の取り決めをした場合には、裁判所から相手に履行の勧告をしてもらう仕組みがあったり、代理人を立てて支払いを求めることもできます。それでも支払わなければ、強制執行といって、相手の財産を差し押さえ、強制的に回収することも可能です。

通常は、養育費支払いを求める裁判を起こし、判決をもらって、ようやく強制執行できるのですが、離婚の際、調停や裁判で養育費の取り決めをすればいきなり強制執行ができるようになっています。協議離婚の場合でも、公証役場で「養育費の不払いがあったら、強制執行に服します」という、専門的には「強制執行認諾文言」という内容が入った公正証書を作れば、裁判なしの強制執行ができます。

ただ強制執行するには、差し押さえる財産を特定する必要があります。具体的な預金の口座番号や、給料を差し押さえる場合は勤務先などを特定する必要があります。離婚してから、期間が経過すると、そういう情報を調べるのは大変ですが、民事執行法の改正により、今年4月から、裁判所を通じて相手の預貯金、証券口座、勤務先の調査が可能になりました。来年には不動産調査もできるようになる予定です。それでも、口座差押えする場合、すべての金融機関の調査はできず、銀行名の特定は必要ですし、手数料や、書類作成などの手間もけっこうかかってしまいます。

簡単でスピーディに養育費が支払われるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。今後、離婚するにあたり、養育費がしっかりと支払われる対策を講じたい方、現に養育費の未払いでお困りの方は、早めにホームワンにご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇611回テーマ
「養育費の履行確保」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士