文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/610回テーマ 「遺留分侵害額請求について」編

2020年12月22日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今回の『くにまるジャパン極』では、「遺留分」についてお話をしました。よくテレビドラマなどで、仲の悪かった親が亡くなって、遺産が入ると喜んだら、遺言書が出てきて遺産の全額を孤児院に寄付されてしまった…という話しがありそうですが、相続には「遺留分」というものがあって、“資格のある相続人”なら法律上、最低限の取り分が保証されており、実際はドラマの様な事態は起こりません。

たとえば、相続人が子ども2人で、同居の子どもがずっと面倒をみていたが、もう1人の子どもは家出して疎遠な仲だった…といった場合、親としては面倒を見てくれた方の子どもに全額、財産を遺したい、と思うかもしれませんが、家出した子にも、最低限の取り分が保証されています。つまり、せっかく遺言書を作っても、その通りにならない場合もある、ということです。

遺留分は、生前の贈与や遺言書による贈与によっても奪われることのない権利として認められています。もっとも、遺言書が遺留分を侵害する内容であっても、権利を使うかどうかは相続人の自由なので、相続人が親の意思を尊重して自らの権利を行使しない場合は、遺言書通りの相続が行われることになります。

さきほど“資格のある相続人”と書きましたが、遺留分は、法定相続人のうち、配偶者と子ども、その代襲相続人である孫、そして親などの直系尊属のみ認められており、兄弟姉妹には認められていません。もし相続人が配偶者と兄弟姉妹、という場合であれば、遺言書に、配偶者に財産をすべて相続させたいと書いておけばよい、ということになります。

遺留分の割合ですが、基本的には遺産の2分の1で、もし亡くなられた方に妻子がおらず、親などの直系尊属しかいない場合は3分の1となります。たとえば遺産が現金1000万円で、相続人が妻と2人の子どもの場合、遺留分は合計500万円。配偶者の法定相続分は2分の1、子どもは夫々4分の1なので、妻は250万円、子どもは125万円ずつとなります。例えば、相続人が妻と兄弟姉妹という場合で、被相続人が「遺産のすべてを孤児院に全てを寄付する」という内容の遺言書があったケースだと、兄弟姉妹は「遺留分」を請求する権利がないため、妻のみが遺留分500万円を請求できることになります。
今までは、遺留分を侵害した遺贈や生前贈与された財産そのものを取り戻すことから、「遺留分減殺請求権」としていましたが、財産そのものとなると、不動産が含まれたりして、分割するのも大変なので、民法改正により、去年の7月1日以降開始された相続では、「遺留分侵害額請求権」という名前の請求権が定められました。これは、遺留分を侵害している受遺者、遺産を受け取った人に対して、遺留分相当額の金銭支払を要求できる権利…要は金銭で解決できるシステムを導入したわけです。

もう1つ注意が必要なのは、権利行使には期限があることです。法律的には難しい表現がありますが、目安としては自分の権利が侵害されたのを知った時から1年と覚えておいてください。要するに、遺言の内容が、本来、資格のある相続人なのに、自分には全く何も来なかった、または、相続した遺産が極端に少なかった、などと知ったときから1年ということです。1年は、長いようですが、実際にはあっという間です。自分の権利が侵害されたと思ったら、まずは、ホームワンに相談されることをおススメします。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇610回テーマ
「遺留分侵害額請求について」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士