文化放送『くにまるジャパン 極』に小杉直樹弁護士が出演/609回テーマ 「相続人がいなかったら?」編

2020年12月15日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

今回の『くにまるジャパン極』では、もし亡くなられた方に相続人がいなかったら、その方の遺産はどうなるのかというお話をしました。『生涯未婚率』は、年々増加しており、当然子どももいない、御両親も亡くなられて、もともと一人っ子で兄弟もいない、という方もいると思います。亡くなられた方に、遺産がなければ問題にはなりませんが、もし、土地や建物があると大変です。相続人がいないということは、管理する人がいない、ということですから、庭の木や草が伸び放題になりますし、家の中にスズメバチが巣を作ってしまい、近隣住民が大迷惑したという話もあるほどです。


相続人が誰もいない場合、家や土地は、最終的には国の財産になります。国が管理を続けることもあれば売却してお金に換えるケースもあります。ただそれ以前に、本当に誰も相続人がいないのか調べる必要がありますし、あるいは債権者がいる場合は、遺産から借金を返す必要もあります。お金を貸していた債権者は、家庭裁判所に申し立てを行ない、「相続財産管理人」を選任してもらうことができます。相続財産管理人は、本当に相続人がいないのかを調べたり、残された家や土地などを売って、借金を返したりするのが仕事です。

このような手続きを経て、お金が余っていれば、最終的には、国の財産になってしまいますが、亡くなった方と特別な関係だった方がいれば、遺産の一部を受け取れるケースがあります。特別な関係だった方というのは、内縁関係だった夫や妻や個人的に看病していた方、最後まで付き添って身の回りの世話をしていたといった方などがあたり、債権者と同様、家庭裁判所に相続財産管理人の申立を行います。ただ、特別な関係にあったとしても、受け取ることができる可能性があるのは相続人が存在しない場合だけです。兄弟、甥や姪などが一人でもいれば、受け取れることはできません。

相続人がいないことが確定しても、内縁関係にあったからといって、遺産の全部を受け取れるとは限らず、一部だけの場合が多いんです。以前取り扱ったケースでは、ある男性が亡くなって、1億円以上の遺産がありましたが、内縁の妻は2千万円しか受け取ることができませんでした。
そのため、内縁関係の相手がいて、その方に遺産を譲りたい場合は、きちんと遺言を残しておかなければなりません。

内縁関係でも、別れるときに財産分与を請求できたり、どちらかが亡くなったら遺族年金を受け取ることはできます。このあたりは法律的な夫婦とそんなに変わらないのですが、相続する権利は認められていないというのが一番違うところです。様々な事情で入籍していないカップルはたくさんいると思いますが、遺産を受け取れないことは覚えておいて戴きたいです。内縁関係のパートナーに財産を遺したい方は、元気なうちの贈与、あるいは遺言を残す、といった手を打つ必要があります。今後のことで心配な方は、是非、ホームワンにご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇609回テーマ
「相続人がいなかったら?」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹弁護士