文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/594回テーマ 「リモートワークとパワハラ」編

2020年08月28日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、会社側には、社員を感染から守る「安全配慮義務」があるため、引き続きテレワークを導入している会社もあります。実は、テレワーク中でも様々なハラスメントが起きていて、「リモハラ」といった言葉をニュースでお聞きになっている方もいるかと思います。そこで今日は、リモートワークの注意点についてお話しました。

自宅での仕事は、オフィスに通う必要がなく、なんとなく職場で働いている感じがしないかもしれませんが、「職場」というのは、労働者が業務を遂行する場のことで、それが自宅であれば自宅も「職場」ということになります。つまりリモートワーク導入には、リモハラ対策が不可欠になります。

具体的には、例えば「業務に関する指導以外の説教」「行動や時間の使い方について必要以上の説明を求める」「ちゃんと座り続けているか監視する」「オンライン会議を過度に求める」等が挙げられます。飲み会好きの中高年にありがちな例ですが、「オンライン飲み会を  開くようしつこく求める」というのもリモハラの一例です。

リモハラの原因は3つあって、まず「意識の差」。言う側は軽い冗談のつもりでも、受け取る側はそうじゃないというケースがけっこうあるものです。2つ目は「働く空間が異なること」、直接話す機会が減るので、同じチームのメンバーでも信頼感が低下することがあります。そして3つ目は「仕事場と自宅との境界がなくなること」。自宅だとつい気持ちが緩み、ハラスメントしやすくなるようです。

6月1日に改正パワハラ防止法の施行で、大企業は即日、次の3つが義務付けられ、中小企業も再来年4月から適用されます。まず『パワハラ防止措置の義務付け』で、研修を行ったり、相談窓口の設置などをしないと、コンプライアンス違反となる上、行政による助言、指導、勧告の対象となって、勧告に従わないと会社名を公表されることもありえます。2つ目は、『ハラスメントの相談等を理由とする不利益扱いの禁止』。そして『ハラスメント問題に関する努力義務』です。これは経営者や役員、及び労働者は、パワハラ問題への関心と理解を深め、パワハラ防止に注意を払いなさい、というものです。そのためには、務付けられている研修以外の研修や意見交換などが必要となってくるでしょう。もちろん、法律以前に、会社のトップがハラスメント撲滅に向けメッセージを出したり、ハラスメント禁止の就業規則を整備する…といったことも、予防につながってくると思います。
万が一、ハラスメントが起きてしまったら、迅速かつ適切に対応しなければなりませんが、その対処法は、ケース・バイ・ケースです。それぞれにきめ細やかな対応が必要となってきますから、すぐ専門家である弁護士にご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇594回テーマ
「リモートワークとパワハラ」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士