文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/592回テーマ 「遺言書撤回」編

2020年08月11日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

新型コロナウィルスの感染拡大が心配なお盆休みになってしまい、今年は帰省するのを諦めた方も多いかと思いますが、人間の来し方行く末、相続について、あれこれ考えるシーズンでもあるかと思います。
今日の『くにまるジャパン極』では、遺言書を作った後で、事情が変わって内容を書き換えたくなったときはどうすればいいか、というお話をしてきました。

これまでも、このコーナーで、のこされた家族が不要な揉め事に巻き込まれないよう、  遺言書を作っておきましょう、と繰り返しお勧めしてきました。しかし、遺言書を作った後で、気持ちが変わることもあるでしょうし、また金銭状況が変わって遺言した通りの財産を遺せなくなるというケースもあります。こうした場合、遺言書の内容を撤回・修正することになります。

まず考えられるのは、遺言の内容を撤回、または修正するという遺言書を作成するやり方です。遺言は、その方が亡くなられるまで何度でも新しい遺言書を作って、そこに前の遺言を撤回・修正する…と書くことで、撤回・修正することができます。

遺言の種類にはいくつかあって、公証役場で保管するのは「公正証書遺言」というものです。他にも、自分で書く「自筆証書遺言」などがありますが、最初に公証役場で「公正証書遺言」を作っていても、そのあと「自筆証書遺言」で撤回・修正することも可能です。それからもう一つの方法として前の遺言と矛盾する内容の遺言書を作るというものもあります。その場合、その矛盾する部分は自動的に撤回・修正されます。ここで言う矛盾とは、前の遺言を撤回したと解釈しなければ、後の遺言の内容を実現できない程度の矛盾と考えられています。

たとえば、最初は「土地は長男に相続させる」と書いてあったのに、次の遺言では「土地は二男に相続させる」と変更された場合です。ただ、矛盾になるかどうかは、明確な線引きはないので、変更したいときは、はっきり撤回・修正する旨を書いておくのがお勧めです。また、もし「長男に土地を相続させる」と遺言していても、気が変わってその土地を売ってしまった場合、現実的に相続させるのは不可能です。これは、遺言書の内容と矛盾する形での相続財産の処分なので、自動的に遺言が撤回・修正されます。たださっきのケースと同じく、矛盾なのかどうかははっきりと線引きできないので、争いになる可能性もあります。

また、自分で書いた遺言書そのものに手を加えてもOKですが、法に従い適切に行う必要があります。最近ではネットで、相続や遺言に関する情報も手に入りますが、残念ながら不正確なものも多いです。撤回・修正が必要な場合は、弁護士にご相談いただくほうが安心だと思います。

最近では預貯金のペーパーレス化が進んで、パスワードが不明だと残高がわからず、遺産分割に手間取った例も出ています。そんな事態を避けるためにも、遺言書の作成をお勧めします。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇592回テーマ
「遺言書撤回」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士