文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/583回テーマ 「新型コロナウィルス・不可抗力と債務不履行」編

2020年06月09日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

緊急事態宣言は一応解除されたものの、「東京アラート」が出されるなど、不安定な状況は続いています。そこで、本日の『くにまるジャパン 極』では、「新型コロナウィルス-不可抗力と債務不履行」というテーマでお話してきました。

例えば、原料の仕入先が営業自粛で部品を調達できず、納期を守れないといった場合、いくらコロナの影響とはいえ、製品の納期が守られないと、取引先も困りますので、取引先の会社から損害賠償を請求されるケースがあるかもしれません。

しかし、納期を守れなかったのは自分のせいではありませんので、できれば損害賠償請求は拒否したいところです。このような場合、まず契約書に不可抗力による免責条項があるかどうかを確認します。不可抗力条項とは「不可抗力により当事者が契約上の義務を果たせない場合、責任を免除される」という条項です。

今回のコロナ禍が不可抗力なのかどうかは、「外部から生じた原因であり」、かつ「防止のために相当の注意をしてもどうしようもなかったか」「回避するための措置を十分にとったか」「代替措置はないのか」…といった点から合理的に判断されます。例えば、一所懸命他の仕入先を探したのか、など、ケース・バイ・ケースですが、弁護士の間では「不可抗力にあたらない」と考える人が多いように思います。

不可抗力条項での免責が難しいとなると、もう一度契約書を見て、今度は債務不履行についての条項を確認することになります。これは、契約が履行できない場合、債務者が負う責任として、損害賠償、契約の解除などを定めたものですが、こうした条項が定められていないと、民法の債務不履行の問題となって、債務者に「帰責性(きせきせい)」があるかどうか、という話になってきます。「帰責性」とは、債務者の故意・過失、及びこれと信義則上同一視しうるもの、を言います。要するに債務が履行不能なのは債務者に責任がある、ということ、これが「帰責性」です。ただこれも、契約その他債務の発生原因、及び社会通念に照らして判断されることになっていて、つまりこちらもケース・バイ・ケースです。そのため、現状では一般的には損害賠償請求を拒否できる場合も可能性もある、ぐらいしか言うことはできません。

今回の新型コロナウィルスは世界中を巻き込んだ一大事件ですし、日本でも緊急事態宣言、自粛要請がなされるなど、これまで誰も経験したことのない状況が日々続いています。  債務者も債権者も、共にウイルス感染拡大防止に努めなければいけない状況ですから、双方で話し合うのが一番でしょう。また、契約書をきちんと作っておくことも大切です。ホームワンも、コロナの影響で困っている方の力になりたいと考えています。ご自分の事業の現在の状況にどんな法的リスクがあるのか、ぜひホームワンに気軽にご相談いただきたいです。

得々情報 暮らしインフォメーション 
ホームワン法律相談室でした。
【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇583回テーマ
「新型コロナウィルス・不可抗力と債務不履行」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士