文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/582回テーマ 「テレワーク時代がやってきた」編

2020年06月02日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の山田です。

本日の『くにまるジャパン極』では、新型コロナウィルス関連で「テレワーク」についてお話してきました。感染を防ぐため、人との接触を「最低7割、極力8割削減するよう協力を」との政府からの要請があって、企業などでは在宅勤務、いわゆる「テレワーク」を実施しました。そもそもテレワークが生まれたのは1970年代のロサンゼルスで、交通渋滞や大気汚染を緩和するために導入されました。日本でも今世紀に入ってから一般的になってきていましたが、今回のコロナ騒ぎで大きく注目されることになりました。

コロナ以前と現在では、事情が大きく変わっています。以前は従業員が在宅勤務を希望して、会社が許可するという制度でしたが、この2、3カ月のテレワークは、逆に企業が従業員に命じる形になっています。従業員の同意が必要とする考え方もあるようですが、実際は、テレワークを会社から命じられたらやらざるを得ないでしょう。ほとんどの場合、就業規則には配置転換や転勤を命じられた場合、従わねばならない規定があります。遠隔地への転勤命令を断れないなら、テレワークも当然、やるしかない訳です。

テレワークを命じられた場合、誰もが自宅にネット環境が整っているとは限りません。これに関しては、会社が命じる以上、会社が準備するべきだと思います。ただ、厚労省のパンフレットによれば、就業規則で定めておけば、会社はお金を出さず、社員に負担させてもいいとなっています。というのは、パンフレット作成当時は、テレワークは従業員が希望して実現するものだったため、会社は許可する代わり、ネット環境は自分で用意する、という形でも何も問題はありませんでした。それが、今回は会社命令によるものですから、就業規則で従業員の負担とするのは無理があるし、現実的でもないように思います。実際、テレワークを始めた会社では、端末を貸与したりとか、月々発生する通信費等の諸経費用のためテレワーク手当を支給したりしています。

ほかにテレワークの問題点として、労働時間の管理があります。自宅での仕事となると、本来の勤務時間は手を抜いて、わざわざ残業されたとしてもわかりません。そこで、テレワークでは残業禁止という企業が多いようです。とはいえ、仕事とプライベートの境界線も曖昧になりがちで、かえってサービス残業が増えてしまうケースも多いです。会社への出勤時は残業が多かった社員が、テレワークになったら残業が減ったという場合、無理して働いているかもしれないので、会社側はこのあたりをきちんとチェックしておく必要があります。

また、もう一つ、情報漏洩の問題もあります。パソコンを貸与するなら、厳重なセキュリティ対策で、情報が外部に漏れないようにするか、あるいは最初からハードディスクがなく情報の保存が不可能なシンクライアント端末を渡しておくという手も考えられます。

今後は営業の方法なども大きく変わってきそうです。新型コロナウィルスは、暮らしだけでなく、ビジネスも新しい時代に入りつつある、ということなのかもしれません。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇582回テーマ
「テレワーク時代がやってきた」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士