文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/580回テーマ 「マンショントラブル」編

2020年05月19日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

本日の『くにまるジャパン 極』では、集合住宅でのトラブルについてのお話をしてきました。

たとえば,ペットに関するものです。マンションに関しては「建物の区分所有等に関する法律」があり、「建物の使用に関する区分所有者相互間の事項」について、規約を定める事ができるとなっています。ペットは、どうしても音やニオイが出て、ほかの住人に影響を与える可能性があるので、規約の対象となります。当初は規定がなかったからペットを自由に飼うことができたものの、途中から苦情が増えた…と
いった場合は、新たに規定を設けての規制も可能です。ただ,既に飼育している方に対して、適切な飼育方法を定め、これをきちんと守ってくださいという条件付きで、現在飼っているペットだけなら飼育OK、といった例外的措置を取るのが望ましいと思います。

その他にも多いトラブルとしては、管理費を支払わない住人がいる場合です。管理組合が支払いを促しても払ってくれない場合、組合員から委任され実際の運営にあたっている「理事会」で情報を共有して、管理組合としてどうすればいいか考えるのが一般的です。間違っても、掲示板に名前や滞納額を貼り出すようなことはしないでください。名前や金額の公表によって、滞納されている方の支払能力が改善するわけでもありませんし、プライバシーや名誉を侵害することになってしまいます。その点、理事会は人数も少なく、メンバーも固定されていますから、プライバシーや名誉侵害の恐れも小さく済みます。

話合いで埒が明かない場合、法的措置も考える必要があります。督促に応じない居住者に対しては、まずは、区分所有者の資産に対する強制執行という手があります。しかし、これには、訴訟で確定判決などの債務名義を得る必要があります。また、専有部分等の担保不動産競売の申立が考えられます。分かりやすく言いますと、居住者の居室を競売にかけて、その代金から滞納額を回収します。

ただ、ここまでしても、滞納額を全部回収できないケースもまれに出てくることがあります。そうなると、区分所有法59条による区分所有権の競売請求訴訟も考えられます。こちらも、居住者の居室を競売にかけて、その代金から滞納額を回収するのは同じですが、先ほどの手段より、要件が厳しくなっています。それぞれの法的措置には、細かく要件が定められていますし、法的措置を取る前に、滞納している方の保有財産のありかや、登記がどうなっているかや、固定資産課税台帳のチェック等、
下調べも必要になります。

集合住宅の問題は、お住まいの皆さんの暮らしに密着しますので、必要に応じて、弁護士に相談された上で、きちんと取り組むのが何よりも大切だと考えます。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇580回テーマ
「マンショントラブル」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士