文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/579回テーマ 「整理解雇」編

2020年05月15日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン 極』では、引き続き、新型コロナウィルス関連のお話をしてきました。コロナの影響で会社が傾き、従業員が解雇されてしまう「コロナ解雇」なんて言葉も出てきているようですが、これは法律的には「整理解雇」に当たります。不況や経営不振などで人員削減のために行う解雇のことです。今回の場合、経営不振も不可抗力という側面がありますが、たとえ緊急事態であろうと、解雇は、会社が自由に行えるものではありません。労働基準法によれば、客観的に合理的な理由がなく、社会的相当性がない解雇は無効とされています。特に、コロナ解雇のような「整理解雇」は、労働者に特に問題がないのに、会社の一方的な事情でクビを切られてしまうので、裁判所は有効かどうか、厳格に判断します。

判断基準には4つのポイントがあります。
①人員削減の必要性があるかどうか
②可能な限り解雇しないための努力を行ったかどうか
③解雇の対象となる人の選び方が合理的かどうか
④解雇の手続きがきちんとしているか

最初のポイントの「削減が必要かどうか」と言う事ですが、簡単に言いますと、会社としてみれば必要だからやめてもらうという話です。人員削減しなくても倒産までには至らないけれど、経営状況が債務超過だったり累積赤字がひどかったりする場合、法律用語でいえば「高度の経営上の必要性」の裏付けが必要です。

次の「解雇しないための努力」ですが、会社側は、解雇する前に経営改善のための方策を取る義務があるんです。たとえば、部署間の配置転換を行ったか、とか、希望退職者を募集する措置をとったか、また役員報酬のカットを行ったか… といった努力を行っていないと解雇は無効になります。

それから、解雇の対象になる人の選び方ですが、客観的かつ公平で、誰もが納得できる選び方じゃないとダメ、ということです。経営者にとって目の上のタンコブ的存在をドサクサ紛れに解雇する、といったことはできません。

最後の「解雇の手続き」についてですが、たとえば会社から十分な説明を受けていないとか、解雇の際の社内ルールが定められているのに、それを守っていない… といった場合、正しい手続きを取っているとはいえないでしょう。このように、整理解雇のハードルはかなり高いので、もし通告された場合は、簡単に受け入れるような態度は取らず、「自分は会社にいたい」という意思を明確に示すのが重要です。後で解雇が無効なことを争う時の証拠とするために、書面の形で、内容証明郵便で会社宛にお送り戴くのがベストです。

解雇が有効かどうかを争いながら失業保険を受けたい場合は、「失業保険の仮給付」という制度の利用をお勧めします。また別の就職先を探すのは、かなり微妙な問題ですが、とにかく会社側に復職の意思をきちんと伝えておくことは必要です。いずれにせよ、整理解雇の有効性はケースバイケースなので、通告された場合は、専門家に相談されるのがベストだと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇579回テーマ
「整理解雇」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士