文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/578回テーマ 「新型コロナウィルス、裁判への影響」編

2020年05月08日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

今週、こどもの日の『くにまるジャパン 極』では、先週に続いて、新型コロナウィルス関連で、裁判にも影響が出ているというお話をしてきました。

緊急事態宣言を受けて,裁判所も手続きがストップしています。金銭を請求する事件では、請求される方は支払いが伸びるので助かりますが、金銭を請求する方からしてみれば、頼みのお金が入らないので大変です。立ち退き事件も立ち退きを要求されている方は一息つけますが、立ち退きを要求する方は頭が痛いでしょう。

でも刑事事件では、従来通り裁判が進められています。事件が終わるまで身柄を拘束されているケースもあって、遅らせる訳にはいきません。それから仮差押、仮処分…といった事件の裁判も動いています。仮差押は、相手にお金を払ってもらう裁判を準備している間に、相手が財産を隠したり、処分したりするのを防ぐ制度です。コロナの影響で裁判が遅れて、その間に財産を隠されたりしたら元も子もないので、裁判を遅らせる訳にはいきません。

民事事件の離婚や、相続絡みの事件は止まっています。それから破産事件も、急ぐ案件でなければ、申立は受理されても、裁判は開かれないと言われています。「急ぐ案件」というのは財産があって、早く配ってくれないと債権者までが潰れかねません。一方、債権者に配る財産がなく、それを確認するだけという場合、こちらは急ぐ必要のない案件なので、裁判は開かれないと言う事になります。

このほかに法律関係でコロナの影響が出ているケースは、手形の「不渡り」が猶予される事になりました。本来、手形を発行した人は、期日にきちんとお金を入れて、支払いができるようにする義務がありますが、これができないと「不渡り処分」が出され、すべての金融機関に通知が回ります。すると借金を一括で返せと言われたり、信用がガタッと落ちて、倒産に追い込まれ、企業にとっての死刑宣告と言えますね。今回の措置で、不渡り処分は免れますが、支払いまでが免除されたわけではありません。

また家賃の支払いが滞ってるような場合は、たとえコロナで売上が激減しても、家賃の支払い義務はなくなりません。ただ、大家さんと交渉する余地はあると思います。借金にしてもどうしても払えなければ期限を延ばす交渉をするのと同じです。一方、大家さんにしてみれば、借金してビルを建てた方だと、家賃が入らなければ返済ができなくなってしまうし、また高齢の方で家賃収入が唯一の頼みの綱という方もいます。家賃を溜めるような店子には出て行ってほしいところとはいえ、この不景気で次の入居者がすぐ見つかるかどうか・・・ お互い困った、困ったと頭を抱えるケースが多いようです。

国や自治体から救いの手としましては、まずは先週もお話ししたコロナ対応の特別融資や援助の利用。それから家賃の支払いを猶予・免除した大家さんに対して、税金や社会保険料納付を1年間猶予したり、家賃をカットした分に応じて固定資産税などを減免する制度も出てきています。ただ、これだけだと、不足だということで、給付金という形で、国が資金を供給しようという動きもあります。都や県から要請を受けて休業した店舗に、都や県がお金を出す制度ができたりしています。

ほかにもコロナ絡みのトラブルとしては、期限までに納品できなかったことで損害賠償を求められる、といった取引き取引トラブルもいろいろ出てくるでしょう。問題はそれが不可抗力だったのか、たとえば中国からパーツが届かなかったのが原因で、それが100%中国でしか調達できないということであれば、これは不可抗力と言えるかもしれませんが、それが他からも調達可能だったら答えは違ってきそうです。労働問題でも雇止め、整理解雇、休業手当の支払い拒否など、労使双方にとって頭の痛い問題が山積みだと思います。コロナ関連で会社の経営に関する相談はホームワンでも受け付けていますので、お電話いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇578回テーマ
「新型コロナウィルス、裁判への影響」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士