文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/574回テーマ 「民法改正・保証契約」編

2020年04月16日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

先週の『くにまるジャパン 極』では、アパートやマンションなどを借りる場合に必要な「保証人」についてお話してきました。お子さんが部屋を借りる時に、保証人になったという経験をお持ちの方も多いかと思います。保証人というのは、家賃の支払が滞った時、肩代わりする役割を担うもので、昔からある制度ですが、その分、いろいろな社会問題を起こしてきた歴史があります。「金がないなら腎臓を売れ」と保証人からお金を取り立てる様子が報道されたのを、ご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「お金を借りる時の保証人」については、想定外の被害を受けないようにしようということで、平成16年に法改正がありました。その改正での重要な点は、保証人が負担する最大の限度額を定めないと保証契約は無効になる、というものです。ただこの改正では、「お金を借りる」時だけに限られていて、今日のテーマである家賃の保証人は別扱いでした。

そこで4月1日から施行された新しい法律では、保証人を手厚く保護しようということで、部屋を借りる時の保証人だけでなく、就職の時の身元保証などでも、保証人になる場合は、責任を負う金額の上限を定めて契約書に書かなければならない、という制度がスタートしました。上限金額の定めのない契約書は無効になります。

これが、2020年3月31日付の契約書だった場合、保証の上限金額がなくても無効にはなりませんが、アパートなどの賃貸借契約は2年ごとに更新するケースが多いですから、この時、保証人も一緒に新しい契約書にハンコをつく場合は、新しい法律が適用されるので、負担の上限金額を定めます。ただ、保証人が契約更新に関わらず、貸主と借主だけで契約を更新する場合は、改正前の法律がそのまま適用され、保証金額は青天井のままになるので、注意が必要です。
また、レアケースではありますが、家賃の未払いが続いているのに、保証人には連絡が行かず、ずるずる契約更新を重ねていたような場合には、 法律の改正に関係なく、保証人が責任を負わなくてもいい場合もあるかと思いますし、それぞれの事案ごとに検討が必要です。

ただ、法律が変わったといっても、保証人の責任を軽く見るのは危険です。上限が定められたとしても、その金額までは、責任を取らなければいけません。最悪、家や預貯金の差押えや、破産の可能性もあります。そうしたリスクを理解した上で、保証人になるかどうかを慎重に判断していただきたいです。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇574回テーマ
「民法改正・保証契約」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士