文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/569回テーマ 「高齢者の消費者被害」編

2020年03月06日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン 極』では、お年寄りをターゲットにした詐欺などの悪質な犯罪に関するお話をしてきました。最近では、自治体や金融機関の職員になりすまして、キャッシュカードを騙し取るなんて事件も起きています。不幸にしてそのような被害に遭ってしまったら、家族や身の回りの皆さんの対応について参考にしていただきたく思います。

まず被害に遭った状況や被害金額を確認する必要があります。特にお年寄りの場合、自分で騙された事に気づいても、家族から責められるのではないかと不安を感じて、状況がなかなか明るみに出てこないケースが多いです。普段から身近にいらっしゃる方が、様子がおかしくないか、ヘンな郵便物が届いてないか、気を付けている必要があります。そうしていれば、万一被害にあっても、被害状況や金額をいち早く確認して対応できるので、被害を回復できる可能性が高くなります。たとえば、振り込め詐欺なら、金融機関や警察に振込先口座の凍結要請を行う事で、相手方との交渉を有利に進めたり、全部ではないにせよお金を取り戻せる場合も出てきます。

また、よくあるのは、訪問や電話セールスで、食器や電化製品等、いらないモノを売りつけられるという事件です。そうした場合では「クーリングオフ」を使えるかもしれません。  クーリングオフというのは、いったん契約の申し込みや締結をしても、一定の期間内なら無条件で申し込みの撤回や契約の締結解除ができる制度で、弱い立場の消費者を守るための仕組みです。訪問販売、電話勧誘販売は8日間がその期間となっています。これは申込書面、または契約書面のいずれか早い方を
受け取った日から計算することになっています。ただ、クーリングオフ制度は「特定商取引に関する法律」で定められていて、この法律は条文がかなり複雑で、しかも頻繁に改正されるので、注意が必要です。

ほかも注意としては、一度こうした被害に遭われた方は、何度も狙われてしまう傾向にあるということです。悪徳業者は仲間内で「あいつは上玉だ」という情報を交換します。警察も啓発活動を行っていますが、業者も次々と新手の詐欺を開発しているため、結果として被害は後を絶ちません。弱い立場のお年寄りが身を守るには、とりあえず知らない番号からの着信はすべて拒否するといった対策を取ることができるかと思います。また、訪問販売に対しては、インターホンで相手を確認してから玄関を開けるのを徹底して、見知らぬアポなしの訪問者には絶対に対応しないことでしょう。自治体の中には、カメラ付きのインターホン設置費用を補助するところもありますし、また自治体や警察で、かかってきた電話に対し警告メッセージを流し、通話内容を自動録音する機器を無料貸出もしているようです。ぜひ問い合わせてみてください。
  
身近にお年寄りがいらっしゃる場合、詐欺被害についてよく話し合い、日頃から注意を呼びかけ、万一の場合はどう対処するかを決めておくとよいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇569回テーマ
「高齢者の消費者被害」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士