文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/553回テーマ 「パワハラのいろは」編

2019年11月15日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

今週の『くにまるジャパン極』では、パワハラの法的な定義についてお話してきました。
法律では次の3つの要件がパワハラであると定められました。

・優越的な関係を背景にして行われた行為であること
・業務上、必要かつ相当な範囲を超えた言動であること
・就業環境を害するものであること

まず第一の「優越的な関係」という要件ですが、普通は上司の部下に対するものを指しますが、部下が上司をいじめる「逆パワハラ」というのもあります。たとえば、いろいろ屁理屈を言って仕事を拒否する部下がいると、結局上司が自分でやらざるを得ず、それを見た他の部下たちも同じことをやり始め、上司の方が長時間の残業を強いられるというケースです。また、その部下しかできない仕事をしてもらうために、暴言を吐かれながらもお願いせざるを得ない、そしてその状況の繰り返し…と言ったものもあります。

次は「業務上必要かつ相当な範囲を超えている」という件ですが、適正な範囲ならばパワハラになりませんが、業務上正しい事を命令し、指導する場合でも、感情的・高圧的・攻撃的になって指導の範囲を超えている場合は、当然ですがパワハラになります。

最後の「就業環境を害する」というのは、パワハラを受けた方が、精神的負担を感じて職場に居づらくなる、あるいは能力を発揮できない環境に置かれたりすることを指します。

また、厚生労働省の報告書では6つの類型があって、「肉体的暴力」はもちろん、“脅迫”“名誉棄損”“侮辱”“暴言”といった「精神的暴力」や、「仲間外れ・無視」、「無理な仕事、あるいは逆に能力や経験とかけ離れた仕事の押し付け」「仕事を与えない」「プライベートに過度に立ち入る」といったふうに整理されています。

法律はパワハラを罰するのではなく、企業にパワハラの防止義務、そして、相談に応じ、対処する義務を課すものです。防止という意味では、パワハラ撲滅宣言をしたり、社内規定を整備したり、研修を行うといったことが必要になります。そして被害が発生したら、きちんと事実を確認して、パワハラをした従業員には指導を行い、被害者に心理的なケアも必要ですし、さらに再発防止策も講じなければなりません。

例えば、部下がミスをしたら、叱ったり、厳しく指導しなきゃいけない場面もあるかと思います。上司は、もし自分がパワハラしちゃったかな?と思ったら、自分の行動を振り返って「怒りの感情をぶつけていなかったか」「相手を伸ばそうと思っていたか」「一緒に問題を解決しようという意識があったか」「態度が強圧的・脅迫的でなかったか」など、自問自答してみるのが必要かと思います。指導がうまくできないから、結果的にパワハラをしてしまう場合もあるでしょうから、部下の能力、やる気を引き出すテクニックを身に着け、また怒りに任せて怒鳴ったりしないようにコントロールする訓練、いわゆるアンガー・マネジメント研修が必要になるでしょう。

我々弁護士も、社内研修の講師をしたり、社外の相談窓口を引き受けたりといった形でご協力できると思います。ホームワンにご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇553回テーマ
 「パワハラのいろは」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士