文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/552回テーマ 「遺産分割」編

2019年11月08日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン極』では、不動産にまつわる「遺産分割」のお話をしてきました。
例えば,実家には昔から兄が住んでいて、弟は親と別居して暮らしていましたが、親が亡くなって兄弟で実家を相続することになった場合、当然、弟も同じ割合で相続する権利があります。もしお兄さんが、そのまま実家に住み続けたくて、土地や建物を1人で相続したいのであれば、弟さんは、代わりに現金など、ほかの遺産を受け取れなければ、不公平ということになります。もちろん、家や土地と同じ位の価値がある現金など、弟さんに渡せる他の遺産があればいいですが、めぼしい遺産は実家だけということもよくあることです。

もし、お兄さん自身がある程度のお金を持っている場合は、ご実家の資産価値の2分の1のお金を弟さんに払ってあげればいいですが、お金に余裕がないと難しいかと思います。それならば弟さんは「家を出て」と言いたくなる気持ちも分かりますが、法律的には、それはできません。お兄さんも2分の1の権利を持っていますので、僅かでも遺産の持ち分があれば不動産の共有者ということになり、立ち退きを求めることも、家賃を請求することもできないというのが裁判所の考え方です。ただ、お兄さんもお金を払う必要はありませんが、ずっと住み続けられるわけではありません。裁判所の考え方としては、遺産分割が終了するまで、となっています。

お兄さんからすれば、遺産分割の話し合いが長引いても構わないかもしれませんが、弟さんとしては、早く遺産分割を終わらせたいところかと思います。このような場合、弟さんは、積極的に動く必要があって、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるのが良いと思います。裁判所は、最終的に、家と土地を売却して、そのお金を2人で分けなさい…ということになるでしょう。お兄さんは住む家がなくなりますが、分けてもらったお金で別の家を買うなり、賃貸物件を探して引っ越すなりしてもらうしかありません。調停では、引越までのスケジュールや、不動産売却手続き、引越代をどうするか…といった細かい点も話し合われます。

ここでもし、お兄さんが引っ越しは嫌だ、家は売りたくないと言ったとしても、最後は強制的に競売にかけられてしまいます。そうなった場合、二束三文で処分されてしまう可能性もあるので、ほとんどの場合、相続人同士で話し合い、できるだけいい条件で、自主的に売却する方向で話がまとまります。

今日のお話はお兄さんが実家に住んでいるケースでしたが、お父さんが亡くなって、お母さんが実家に住まわれているような場合は、高齢のお母さんが住み慣れた自宅から引越を余儀なくされるのは、お気の毒です。そこで、来年4月から法律が変わり、配偶者が亡くなって、もう一方が自宅に住んでいるケースでは、「配偶者居住権」という権利を得て、そのまま住み続けることも可能になりました。自宅しか財産がない場合でも、売却して現金に換える必要はなく、安心して引き続き暮らしていくことができます。遺産分割の選択肢が増えることになるのは良いことではないでしょうか。

遺産分割に公式はなく、それぞれに最適のやり方があります。ホームワンにご相談戴ければ、ご一緒に考えながら、それぞれの家族にとって、最適と思える分割の方法をご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇552回テーマ
 「遺産分割」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士