文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/543回テーマ 「離婚時の財産分与と退職金」編

2019年09月06日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今週の『くにまるジャパン極』では離婚にまつわる財産分与についてお話してきました。
財産分与の対象は、結婚生活の間に夫婦が協力して築いた物で、たとえば夫の給料から日々の生活費以外を預貯金していれば、それは紛れもなく「夫婦で協力して築いた財産」ですから、イメージしやすいと思います。
では、サラリーマンなどの場合、将来もらえる予定の「退職金」はどうでしょうか。

退職金も、一部例外はありますが、基本的には「給与の後払い」という性質があると考えられていて、先ほどの例と同じく、財産分与の対象と考えられています。理由としては、退職金は、基本的には長年仕事に従事した結果として支払われる性質のものです。そして、夫が長年仕事に従事することができたのは、妻が夫のための家事などの身の回りの世話をして、仕事を継続するために良い環境を整えていたからこそと考えるのが適切と言えるからです。

ただ、本当に貰えるかどうかもわかりませんし、退職金が財産分与の対象になるかどうかというのは、具体的には、将来的に退職金が確実に支払われる可能性がどれくらいあるのかを基準に判断することになります。

ポイントは4つあって①会社の規定上、退職金は支払われるのか②会社の経営状況③本人のこれまでの勤務状況④退職金が支払われるまでの期間がどれくらいあるか…。  雇用契約書や就業規則に退職金の支給が明記されていて、しかも会社の経営状況から見て、退職金が支払われる時点まで倒産の恐れがなく、しかも勤務態度がいい…というケースでは、定年がまだ先でも、財産分与の対象になる可能性が高いと考えられます。

とはいえ、まだ支払われていない場合は、具体的な金額をどう計算するか、という問題があります。別居した時点での退職金額を基準に考えるのか、あるいは、定年まで働いた場合の金額で考えるのか、など、様々な方法があります。
定年まで無事に働けるかどうか、という問題もありますし、離婚するに当たって、退職金の財産分与が問題になりそうな場合、いろいろ考えなければならないポイントがあります。法律的にもなかなか難しいところもありますので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇543回テーマ
 「離婚時の財産分与と退職金」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士