文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/542回テーマ 「遺言書が無効な場合」編

2019年08月27日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

前回、中小企業などの相続で後継者にスムーズに引き継ぐためにはどういう方法があるかというご紹介をしましたが、今週の『くにまるジャパン極』では、残された遺族の立場で考えた場合についてお話をしてきました。

たとえば、父親が亡くなって、相続人は二人の息子だけのときに、遺言書には「財産はすべて長男に相続させる」とあった場合、二男はどうすればいいでしょうか。
まず、遺言書を十分に検討し、その遺言書が有効か無効かを判断します。遺言書が有効であれば、正当な取り分である「遺留分」を長男に対し請求し、もし、検討の結果、遺言書が無効であれば、無効を主張していくことになります。

遺言書が無効と判断されるには、まず「①法律で決められた遺言書の方式に反する場合」、それから「②偽造された場合」、「③公序良俗違反」、「④遺言無能力」、この4つのどれかに当てはまれば無効となります。たとえば、自分で作る「自筆証書遺言」の場合、民法改正で、財産目録は手書きではなくてもOKになりましたが、遺言書の本文は本人の手書きでないといけません。また、手書きであっても、本人の筆跡と明らかに違う場合は、二番目の「偽造」が疑われるわけです。また、遺言書の日付は特定されている必要があるので、たとえば「令和元年8月吉日」は、日付の記載を欠くという理由で①の方式違反となります。

3つ目の「公序良俗違反」というのは、例えば、不倫関係を維持する目的で、遺言書で不倫相手に贈与をする場合が考えられます。その関係をキープするために贈与を明記するケースです。家族以外の誰かに財産を遺すのは自由ですが、不倫関係を維持継続する目的で遺言書を作るのはNGです。

最後の「遺言無能力」は、遺言を作る能力がないのに遺言があるのは、これはおかしいだろう、という話です。基本的には15歳以上なら原則として遺言能力が認められるのですが、最近は、遺言作成時にはすでに認知症だったなどの理由で、遺言能力が問題に
なるケースが多いです。争いになったら、遺言作成者の医療記録取り寄せなど、証拠を集める必要が出てきます。なので、もし、どうもこの遺言は怪しいと思った場合は、まず弁護士にご相談戴くのが近道だと思います。

弁護士に依頼した場合、まずは、相手に対し、主張と根拠を伝え、交渉を始めることになります。交渉でまとまらない場合は、家庭裁判所に調停の申立をすることになりますが、例外的に、争いが激しく調停では解決の見込みがないような場合は、最初から地方裁判所(財産の額によっては簡易裁判所)に訴訟を起こすことも可能です。

遺言無効確認請求事件は、訴訟では幅広い事実の主張立証が必要なので、長期化することが多いです。時間をかけても争うべきか、それとも早期解決の視点から遺留分請求に  留めるか、費用対効果を含めて十分に検討するべきでしょう。どの道を選ぶべきか、また交渉や調停、訴訟の手続きなど、お気軽にご相談戴ければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇542回テーマ
 「遺言書が無効な場合」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士