文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/538回テーマ 「労災保険について」編

2019年08月02日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

今週火曜日の『くにまるジャパン極』では、会社員の方ならおなじみの、仕事中のケガなどに対して保険金が支払われる労災保険の話をしてきました。

労災保険は、健康保険や年金と同様、社会保険の一種で、仕事中や通勤途中の事故などに対して支払われます。労災保険料は全額会社負担と決まっているので、労働者は保険料を支払う必要はありませんし、アルバイトや時短勤務の方でも加入することができます。

原則として、会社は、1人でも労働者を雇えば、その時点で、自動的に労災保険に加入させられる仕組みになっています。その際、提出する届出がありますが、会社側が届出を怠っていても、仕事中や通勤中に事故に遭ってケガをすれば、労働者は労災請求することができます。国がすべてをチェックするのは不可能なので、会社側でちゃんとやってね、という趣旨です。

ただし、届出をしていない場合は会社側にはペナルティがあります。強制的に2年分の保険料を取られる上、10%の追徴金が上乗せされます。さらに、会社が1年以上届出を怠っているうちに、労災事故が起きてしまうと、国が出す補償金の4割が会社負担になってしまいます。そして、もし、届出を出すよう催促されていたのに怠けていて、その間に事故が起きてしまったら、故意に届出をしなかったとみなされ、補償金の全額を会社が負担しなければなりません。

労災を請求する側に気を付けていただきたいのは、事故に遭った際に受診する病院です。労災事故の場合は、できるだけ労災指定病院に行ってください。全国に4万ヶ所以上あるので、お近くにもあると思います。指定以外の病院の場合、いったん自分で立て替えて、その後で労働基準監督署から支払われるので、手間と時間がかかります。
また、労災の請求書を作成する際には、会社が記名押印する欄がありますが、残念ながら、一部にはなかなか労災を認めたがらない会社もあります。特にメリット制といって、労災事故がなければないほど保険料が安くなる制度の会社だと申請に消極的になってしまう可能性もあります。そのような場合は、労働基準監督署に直接出向いて、事情を話して申請する方法もありますが、もしお困りであれば、弁護士など専門家に相談する手もあります。実は労災保険は、事故から生じた損害すべてを賠償してくれるという性格のものではありません。金額には限度がありますし、労災は基本的に所得収入が減ったことへの保障なので、慰謝料は含まれません。弁護士であれば裁判などを通じ、会社に対して慰謝料を請求することも出来ます。

不幸にして亡くなられてしまったり、重大な後遺症を負った…といった場合は、労災保険だけではカバーできない可能性が大きいです。まずは法律の専門家に相談するのがベストだと思います。何かお困りのことがありましたら、ホームワンにご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇538回テーマ
 「労災保険について」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士