文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/534回テーマ 「私傷病休職制度その1」編

2019年07月05日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今週の『くにまるジャパン極』では、一定期間仕事を休む「休職制度」についてお話しました。近年では、精神的不調がうかがわれる社員や、精神的不調により休みがちな社員が増えています。休職制度は、仕事をするのが無理、あるいは、不適当な場合、会社側がその社員に対して、労働契約関係はそのまま維持しながら、仕事は免除、あるいは禁止することができる制度のことです。

休職制度の一類型として、「私傷病休職」というものがあります。私傷病とは、仕事以外のケガや病気のことですが、こういったケガや病気で、仕事のできない状況が一定期間に及ぶ場合に実施するのが「私傷病休職」です。
この制度は長い間働いてもらう事を前提に、何があってもすぐ“クビ”にはしないことを保証しているわけですが、実は法律ではなく労働契約上の制度です。私傷病休職制度を設けるかどうかはそれぞれの会社の任意になります。
通常は就業規則等に定めを置いて、勤続年数やケガ、病気の性質に応じて定められた期間休職させ、期間満了前に就労可能となれば休職は終わって復職します。でも復帰することができないと、就業規則などの定めに従って、退職または解雇となります。

また、出勤はしているものの、精神的不調がうかがわれるような社員がいるような場合、会社は社員に対し「安全配慮義務」という義務を負っていますので、放っておくことは出来ません。まずは、医師の判断を確認するため、受診を勧めます。ただ精神的不調の場合、本人が受診を嫌がることも多いので、そうなると医者に行けという「受診命令」をすることになります。
「受診命令」は、就業規則などに根拠がなくても、合理的かつ相当な理由があれば命令を出せます。でも「合理的かつ相当な理由」というのは判断が難しいので、予め規定を設けておいた方がよいです。たとえば「随時、会社指定の医師に診断を受けることを命じる」といった表現と共に、結果の報告の義務付けもあった方がいいでしょう。
休職発令をするにあたっては、復帰までの猶予期間との関係で、休職までの欠勤期間の長さや、そのカウント方法などが大切です。また休職させる理由がはっきりしていないと、後で休職発令を無効とされるリスクがあるので、これも決めておきたいところです。

ケガや体の病はわかりやすいですが、精神的不調の場合は、休んでもらうための就業規則にも工夫が必要になります。就業規則で私傷病休職を具体的に定めるにあたっては、いろいろポイントがあります。お気軽にご相談戴ければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇534回テーマ
 「私傷病休職制度その1」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士