文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/532回テーマ 「配偶者居住権」編

2019年06月23日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

先週の『くにまるジャパン極』では、以前もご紹介した「配偶者居住権」のお話をしてきました。

「配偶者居住権」というのは、配偶者が被相続人の遺産である住居に、無償で住み続けられる権利のことです。
もちろん、持ち家の所有権を相続したと主張して住み続ける事もできますが、所有権という大きな価値のある財産を相続したことになると、たとえば、持ち家のほかに生活費のための預金も分割して欲しいとは言いにくくなります。所有権に比べ「配偶者居住権」の方が計算の上では財産的な価値は低いと扱われるので「預金も生活費として分割してほしい」と交渉がしやすいという特徴があります。

ただ、これだけでは万全ではありません。持家に住み続けられ、預金もある程度相続できても、収入がなければそれも減る一方です。年を重ねれば、入院したり、施設に入る必要が出てくる場合もあるかと思います。家を貸して、賃貸収入をと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、配偶者居住権は、配偶者本人が住み続けられるだけの権利なので、原則として第三者に貸すことはできませんし、権利そのものを売ったりすることもできません。この場合、他の相続人と交渉して、配偶者居住権を放棄する代わりに、一定額のお金を払ってもらうというような取り決めをする事で、実質的に権利を買い取ってもらうという方法が考えられます。

もっと確実に、家や生活費を確保できる方法としては、婚姻期間が20年以上のご夫婦に限られますが、夫が遺言に「持ち家は妻に遺贈する」と書いてもらうことです。この場合、持ち家は相続財産の対象から外れると推定されます。つまり、相続財産は持ち家以外となり、それを妻と息子で分ける事になります。夫が生前、妻に持ち家を贈与する時も同じ保護が与えられます。これは最近の民法改正で妻が保護されやすくなったポイントの一つです。

これまでは、遺言で普通に妻に持ち家を相続させた場合は、家の価格を相続財産に入れた上で、分割する必要がありました。それ法律の改正で、戻す必要がなくなったことになります。ただし、どちらの場合も、元々の相続財産全部から算定される息子の「遺留分」を侵害することはできません。詳しくは弁護士などにご相談いただくのがよろしいかと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇532回テーマ
 「配偶者居住権」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士